メキシコ政府、鉄鋼アルミへのさらなる追加関税を不公正と批判
(メキシコ、米国)
メキシコ発
2025年06月06日
メキシコのマルセロ・エブラル経済相は6月3日、米国のドナルド・トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税率を25%から50%に引き上げる大統領令に署名したこと(2025年6月4日記事参照)について、「メキシコは米国と多くの面で協力してきたことから、追加関税のさらなる引き上げは不公正だ。米国は国内で使用する鉄鋼の25%を輸入に頼っており、関税率50%への引き上げは持続不可能だ」と批判した(「レフォルマ」紙6月3日付)。
クラウディア・シェインバウム大統領も6月4日の記者会見(大統領府プレスリリース6月4日付)で「メキシコは鉄鋼とアルミニウムの米国からの輸入量が輸出量を上回っている」とし、貿易赤字を理由とする追加関税に対して、メキシコには当てはまらないと説明した。さらに、「この措置には根拠がないと考えている。自動車製造の部品と同様に、鉄鋼も国境を越えて移動する」と強調し、追加関税賦課を非難した。
追加関税率の引き上げを受け、シェインバウム大統領は6月4日に全国鉄鋼業会議所(CANACERO)と対話を行うと発表した。また、金曜日の6月6日にエブラル経済相とハワード・ラトニック米商務長官が参加する会合を通じて、米国との合意を目指す作業部会も継続すると語った。同会合で合意に至らなかった場合、来週中にメキシコ政府が講じる措置について発表するとした。ただし、「これは「『目には目を』という報復措置」ではなく、「メキシコの産業と雇用を保護するための措置だ」と強調し、語気を和らげた。最後に、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)にも言及し、「われわれはトランプ政権とのグローバルな枠組みを模索している。今後4年間でさまざまな問題を抱えるのではなく、安全保障、移民問題、貿易に関して、USMCAの枠組み内で明確な方向性が示されることを目指している」と強調した。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国)
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