世界半導体市場は2025年も2桁成長の予測も、製品により明暗分かれる
(世界)
調査部国際経済課
2025年06月05日
WSTS(世界半導体市場統計)は6月3日、2025年春季半導体市場予測を発表した。同予測よると、2025年の世界半導体市場は前年比11.2%増の7,009億ドルとなり、2024年の19.7%増に続き、2年連続の2桁成長となる見込みだ(添付資料図参照)。
製品別にみると、成長の牽引役はロジックIC(前年比23.9%増、2,673億ドル)とメモリーIC(11.7%増、1,848億ドル)。いずれも、人工知能(AI)、クラウドインフラ、先端電子機器などにおける継続的な需要を背景に、2桁成長が見込まれている。さらに、伸び率は緩やかながら、センサー(4.5%増、198億ドル)とアナログIC(2.6%増、816億ドル)も成長に寄与する見通し。他方、半導体市場全体が拡大する中で、一部の製品は継続的な縮小が見込まれている。ディスクリート(単機能素子、2.6%減、302億ドル)、オプトエレクトロニクス(4.4%減、393億ドル)、マイクロIC(1.0%減、778億ドル)は、小幅な減少となる予測だ。これらの減少は、足元の貿易摩擦および厳しい経済情勢により、サプライチェーンの混乱と特定のアプリケーション分野での需要減退が起き得ることが主な要因とされている。
地域別では、前年比18.0%増の米州(2,303億ドル)と9.8%増のアジア太平洋地域(3,706億ドル)が引き続き市場を牽引。欧州(注1、3.4%増、530億ドル)と日本(0.6%増、470億ドル)では緩やかな成長が見込まれている。なお、WSTS日本協議会による円ベース(注2)の予測では、2025年の日本市場は1.4%増の7兆1,764億円に上る見通し。
2026年予測、すべての製品・主要市場で成長見込み
2026年の世界半導体市場については、前年比8.5%増の7,607億ドルに達すると予測している。すべての製品でプラス成長となる見込みだが、特に前年比16.2%増のメモリーIC(2,148億ドル)が成長を牽引する。地域別でも、主要市場すべてが拡大するとしている。牽引役は引き続き、米州(9.6%増、2,525億ドル)とアジア太平洋地域(8.5%増、4,023億ドル)だが、欧州(6.1%増、562億ドル)と日本(5.8%増、498億ドル)も伸び率は上向く予測だ。
(注1)欧州には中東アフリカを含む。
(注2)為替レートは1ドル=152.6円を前提としている。
(宮島菫)
(世界)
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