米テスラ、中国で蓄電所建設プロジェクトに参画、総投資額は40億元

(中国)

上海発

2025年06月30日

中国の上海臨港新エリア管理委員会は6月20日、「ネットワーク構築型ゼロカーボンエネルギー国際協力モデルセンター」プロジェクトの調印式を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。同プロジェクトは同委員会と、奉賢区政府、中国康富国際リース、テスラ上海の4者による共同事業で、康富国際リースの子会社の上海康岙能源科技が事業実施主体となる。具体的には、上海康岙能源科技とテスラが共同で、総投資額40億元(約800億円、1元=約20円)を投じ、送電網向け独立型蓄電所と関連インフラを上海臨港新エリアに建設することを決定している。同プロジェクトの実施により、テスラの蓄電システムが中国大陸の電力網に初めて納入されることになる。また、中国のエネルギー転換推進の官民連携の大型プロジェクトとして注目を集めている。

同プロジェクトには、テスラの大型蓄電システム「メガパック」が採用され、ギガワット時(GWh)級の独立型蓄電所のモデルプロジェクトとして建設される。テスラ中国エネルギー事業部総経理の董鯤氏は「上海臨港新エリアで新エネルギーの利用を促進し、上海市が直面する夏と冬の電力需要ピーク時の調整・解決を目指す。地域の停電リスクの低減や、電力の安定供給が期待される」と説明した(「中国新聞網」6月23日)。

米国以外で初のテスラの蓄電システム生産工場となる上海市の工場は、2025年2月に量産を開始しており、年間生産能力はメガパックを年間1万台、貯蔵容量は合計40GWh規模を目指すとした。

中国国家発展改革委員会と国家能源局は2024年2月、「電力網のピーク時蓄電調整、ならびにスマート化需給調整能力の強化に関する指導意見」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、新エネルギーに取り組む企業のエネルギー貯蔵用設備の建設などを奨励する方針を打ち出した。同政策では、2027年までに電力システムの調整能力を大幅に向上させ、新型蓄電システムの市場が安定的に発展できる支援策を整備するとした。

上海市政府も2024年末、新エネルギー貯蔵産業パークを2026年までに2カ所建設し、貯蔵容量を80万キロワット時(kWh)以上の規模にすると発表した。さらに、上海臨港新エリアは2030年までに新エネルギー貯蔵容量を30万kWh規模に、市場を1,000億元規模に拡大すると発表した。

(龐婷婷)

(中国)

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