旧イタリア国鉄、イタリア~ドイツ間高速鉄道を2026年に開業
(イタリア、ドイツ、オーストリア)
ミラノ発
2025年06月02日
イタリアの鉄道会社フェロビエ・デッロ・スタート(FS、旧イタリア国鉄)グループは、2026年にイタリアからオーストリアを経由し、ドイツを結ぶ国際高速列車「フレッチャロッサ」(「赤い矢」)の運行を開始する。同年までにミラノ~ミュンヘン間とローマ~ミュンヘン間、2028年12月から順次、ナポリ~ベルリン間で始動する計画だ。イタリアのトレニタリア(FSグループ)、ドイツ鉄道(DB)、オーストリア鉄道(ÖBB)が5月21日に共同で発表した。
共同記者会見でトレニタリアのジャンピエロ・ストリシュリオ最高経営責任者(CEO)は、イタリアと欧州の主要都市を結ぶ鉄道網の強化はFSグループの戦略的目標の1つと強調し、「フレッチャロッサ」は国際市場でも主導的な役割を担い、既に運行しているミラノ~パリ間などに加え、路線を拡大することで、欧州での就労、就学、観光のための移動がより快適に、より持続可能になると抱負を述べた。FSは4月8日にも、2025~2029年の5カ年経営戦略の1つとして、2029年までにロンドンとパリを結ぶ国際高速鉄道サービスの計画を発表している。
新路線ではトレニタリアの車両「フレッチャロッサ1000」が使用される。フレッチャロッサ1000は、日立グループで鉄道システム事業を担う日立レールが納入している高速鉄道車両ETR1000のことで、この車両はイタリアでデザイン、生産されている。ETR1000は2026年春以降、トレニタリア向けに30編成が納入される予定だ。
共同記者会見には、欧州委員会の持続可能な交通と観光担当の委員のアポストロス・ツィツィコスタス氏もビデオメッセージで参加した。このイタリア~オーストリア~ドイツ間の高速鉄道プロジェクトは、EU域内の持続可能な輸送・移動を促進する行動計画のパイロットプロジェクトとして、欧州委に選出されている。
ミラノ~ミュンヘン間の所要時間は6時間半。主な経由地はイタリアの都市ではブレシア、ベローナ、ロベレート、トレント、ボルツァーノ。オーストリアの都市ではインスブルック。ローマ~ミュンヘン間の所要時間は8時間半で、上記の経由地にイタリアのフィレンツェ、ボローニャが加わる。ブレンナーベーストンネル(注)が開通すると、約1時間短縮される。
(注)イタリアとの国境に接するオーストリア西部ブレンナー峠を通る鉄道トンネル
(平川容子)
(イタリア、ドイツ、オーストリア)
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