三菱自動車、バングラデシュで組み立て生産開始

(バングラデシュ、日本)

ダッカ発

2025年06月30日

バングラデシュの財閥ランコン・グループは6月28日、ダッカ市内の展示場インターナショナル・コンベンション・シティー・ボシュンドラ(ICCB)で、三菱自動車の多目的乗用車(MPV)「エクスパンダー」のノックダウン生産(注)開始を祝う式典を開催した。ランコン・グループは、スズキの二輪車やメルセデス・ベンツの商用車をノックダウン生産しているほか、完成車の輸入販売で三菱自動車と長年にわたって関係を築いてきた。

ランコン・グループのロモ・ロウフ・チョウドゥリー代表取締役は式典で「われわれの使命は、世界的なブランドを手頃な価格でバングラデシュ国民に届けることだ。予約販売は好調で、既に納車まで3カ月待ちとなっている」として、エクスパンダーの人気の高さを誇らしく語った。関係者によると、同社はエクスパンダーのノックダウン生産に対応するため、新たに約200人を雇用するという。主賓として出席した齋田伸一駐バングラデシュ日本大使は「縫製業が輸出額全体の約8割を占めるバングラデシュは、2026年11月に後発開発途上国(LDC)から卒業する予定で、これから産業の多角化が重要になる。今回の事業はそれに資するだろう」と発言した。

ノックダウン生産により、当該新車に課される関税は大幅に軽減される。このため、製品の価格競争力が強化されるだけでなく、中古車が多数を占めるバングラデシュの自動車市場に風穴を開ける可能性がある。

三菱自動車の矢野裕欧州・中東ア本部長は式典会場でジェトロの取材に応じ、「ランコン・グループは当社にとって信頼できるパートナーだ。エクスパンダーの販売が好調に推移すれば、これを皮切りに、ほかのモデルもノックダウン生産できるようになるかもしれない」と述べ、バングラデシュ市場の開拓に意欲を見せた。

写真 ランコン・グループのチョウドゥリー代表取締役(左端)、三菱自動車の矢野欧州・中東ア本部長(左から3人目)らが参加した生産開始式典(ジェトロ撮影)

ランコン・グループのチョウドゥリー代表取締役(左端)、三菱自動車の矢野欧州・中東ア本部長(左から3人目)らが参加した生産開始式典(ジェトロ撮影)

(注)製品の部品を輸入し、現地で組み立て生産・販売する方式。

(片岡一生)

(バングラデシュ、日本)

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