IHI、ルーマニアの小型モジュール式原子炉事業向け鋼製モジュールのモックアップを完成

(ルーマニア、日本、米国)

ブカレスト発

2025年06月05日

日本の大手総合重工業企業IHIは5月27日、米国の原子力技術企業ニュースケール・パワーの技術を採用した小型モジュール式原子炉(SMR)の原子炉建屋用鋼製モジュールのモックアップ(模型)を、自社の横浜工場で製造し完成したことを発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同モックアップは、ルーマニア国営原子力発電企業ヌクレアエレクトリカのSMR事業会社ロパワー・ニュークリアが、米国エンジニアリング企業フルオールと契約を締結し、ルーマニア南部ドイチェスティに建設予定のSMR発電所に関連する基本設計(FEED)第2フェーズ(2024年7月26日記事参照)の一環として、IHIが同SMRの建設工事を担うサムスンC&Tから受注したもの。

今回完成したモックアップは、長さ約9メートル、幅1.2メートル、高さ6メートル、重量約46トンの大型構造で、SMR原子炉建屋の壁に使用される鋼製モジュールを実寸大で再現したものだ。同モックアップで鋼製モジュール製作工程を検証することにより、建設工事の工期短縮が期待されている。

モックアップの完成に伴い、横浜工場ではオビディウ・ラエツキ駐日ルーマニア大使のほか、ニュースケール・パワー、ロパワー・ニュークリア、フルオールの関係者、および鉄鋼モジュールの設計基準策定に携わる米国の名門工科大学・パデュー大学の教授らを招いて完成式典が開催された。ラエツキ大使はスピーチの中で、日・ルーマニア間の産業協力の戦略的重要性と恒久的価値を強調した。

IHIは、今回のモックアップ製作で得た知見を生かし、今後、ルーマニアにおける原子力サプライチェーンとの協力や供給体制の構築にも取り組んでいく考えだ。

(本吉美友)

(ルーマニア、日本、米国)

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