日本産水産物の輸入再開に向けた技術的要件、中国側が実質的進展を発表

(中国、日本)

調査部中国北アジア課

2025年06月02日

中国外交部は5月30日に開かれた定例会見で、北京市で28日に日本側と日本産水産物の安全性に関する新たな技術交流を行い、実質的な進展を得たと発表した(注1)。中国側の規制要件と食品安全基準を満たすべく、日本側が信頼できる目に見えるかたちで措置を取り、日本産水産物の品質と安全性を保証することを約束したと言及した。

会見に参加した日本の記者から、日本産水産物の輸入再開に必要な技術的条件について、日本側で「合意に達した」と発表している(注2)点に関して、中国側の見解を問う質問が投げかけられた。これに対し、林剣報道官は「関係部門で科学的見地と安全の原則に基づき、関連する国内規制と国際貿易ルールに従って、日本から中国への日本産水産物の輸出再開の要請を検討する」とコメントした。

2023年8月24日から行われている日本の東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水海洋放出を受けて、中国は同日から原産地を日本とする水産物(食用水生動物を含む)の輸入を全面的に停止している(2023年8月25日記事参照)。日本の農林水産省の統計によると、2024年の中国向けの水産物輸出額は前年比89.9%減の61億円となった。

在中国日系企業などで構成する中国日本商会は「中国経済と日本企業2024年白書」(2024年7月11日記事参照)などで、輸入停止措置の撤廃を求めてきた。中国日本商会は5月30日付で声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、今回の合意が「日本産水産物の中国への輸入再開」 につながるとして歓迎するとしたほか、日本産水産物の中国への全面的な輸入再開に向けた動きにつながることへの期待を示した。

(注1)中国税関総署も5月30日、日本側と日本産水産物の安全性に関する新たな技術交流を行い、実質的な進展を得たと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(注2)日本の農林水産省は5月30日、中国税関総署との間で、日本産水産物の輸出再開に必要な技術的要件について協議を行い、合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(小林伶)

(中国、日本)

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