国連安保理、ガザでの即時無条件停戦決議案を否決、米国が拒否権行使
(米国、イスラエル、パレスチナ)
テルアビブ発
2025年06月06日
国連安全保障理事会は6月4日、パレスチナ自治区ガザ地区での「即時、無条件かつ恒久的な停戦」などを求める決議案の採決を行ったが、常任理事国の米国が拒否権を行使して否決された。
この決議案は、非常任理事国10カ国(アルジェリア、デンマーク、ギリシャ、ガイアナ、パキスタン、パナマ、韓国、シエラレオネ、スロベニア、ソマリア)が共同提出したもので、停戦に加え、ハマスや他のグループによって拘束されている人質全員の即時かつ無条件の解放や、ガザ地区への人道支援物質の搬入と配布に対する全ての制限の解除、国連や人道支援パートナーの安全かつ妨害のないアクセスなどを求めていた。
採決では、理事国15カ国のうち14カ国が賛成したが、米国が拒否権を行使した。
国連ニュースによると、採決に先立ち、米国のドロシー・シェイ国連臨時代理大使は「われわれ(米国)は、ハマスを非難ぜず、ハマスに武装解除とガザ地区からの撤退を求めないいかなる措置も支持しない」と述べた。
決議案否決を受けて、米国のマルコ・ルビオ国務長官は同日に声明を発表し、「イスラエルとハマスを同列に扱い、イスラエルの自衛権を無視するあらゆる措置を支持することはない」と強調した。さらに、「米国は、全ての人質を解放するための努力を決して止めることはない。ハマスの干渉なしにガザへの援助配送を支援し続け、ハマスや他のテロリストにはガザでの未来がないようにする」と述べた。
イスラエルのダニー・ダノン国連大使は自身のX(旧Twitter)に投稿し、米国の拒否権行使に対して「道義的明確さとリーダーシップを示した」と感謝した。一方、決議案については「人質の即時・無条件解放を停戦の条件にしていない」と問題視し、「これは外交ではなく、テロへの降伏だ」と強く批判した。
イスラエルとハマスの衝突の詳細については特集を参照。
(中溝丘、イバン・ステシェンコ)
(米国、イスラエル、パレスチナ)
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