ECプラットフォーム事業者、7月1日から出店者に代わり納税義務化

(ベトナム)

ホーチミン発

2025年06月26日

ベトナム政府は6月9日、電子商取引(EC)プラットフォーム事業者の税務管理に関する政令117/2025/ND-CPを公布した。この政令に基づき、ECプラットフォーム事業者は7月1日から、自社のプラットフォームを通じて事業活動を行う個人事業主に対して、付加価値税(VAT)と個人所得税(PIT)を源泉徴収して納税する義務が生じる。源泉徴収は、ECプラットフォーム事業者が商品やサービスの販売取引を確認し、支払いを承認した時点で実施され、月間・年間の総売り上げに関係なく、取引ごとに行われる。商品・サービスの種類に応じたPITの税率は次のとおり。

  • 居住者の個人事業主:商品0.5%、サービス2%、輸送関連サービス1.5%
  • 非居住者の個人事業主:商品1%、サービス5%、輸送関連サービス2%

VATについては、居住者・非居住者ともに、商品1%、サービス5%、輸送関連サービス3%と設定されている。

ECプラットフォームでの取引が商品またはサービスか明確に判別できない場合は、規定に従って最も高い税率を適用する。同政令に従い、ECプラットフォーム事業者によってVATとPITが源泉徴収・納税された個人事業主は、VATとPITを別途申告・納税する必要はない。ただし、決済機能を持たないECプラットフォームで事業活動を行う個人事業主は、自ら税金を申告して納税しなければならない。同政令117号第III章では、決済機能を持たないECプラットフォームで事業活動を行う個人事業主の税申告・納税に関する書類と手続きの詳細を規定している。

ベトナムのEコマース調査会社Metric発行の「2025年第1四半期のEC市場概況レポート」によると、同四半期(1~3月)のベトナムのEC市場の総売上高は、前年同期比42.3%増の101兆4,000億ドン(約5,577億円、1ドン=約0.0055円)だった。販売商品総数は24%増の9億5,070万点と、活況を呈している(2025年4月24日記事参照)(「トイチェ」4月21日)。

なお、ECプラットフォーム売上高のうち上位3社が占めるシェアは、ショッピーが前年同時期のシェア68%から62%に減少、TikTokショップが23%から35%に増加(売上高は前年同期比2.1倍)、ラザダが8%から3%に減少した。TikTokショップの台頭は、ベトナムの消費者行動がエンターテインメントとショッピングが統合したプラットフォームに移行しているためとの指摘がある(VNエコノミー・VNエクスプレス4月22日)。

(新田和葉、ティエン・グエン)

(ベトナム)

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