第1四半期の製造業向け外国投資認可額、前年同期比3割減
(マレーシア)
クアラルンプール発
2025年06月23日
マレーシア投資開発庁(MIDA)は6月11日、2025年第1四半期(1~3月)の投資認可総額が前年同期比3.7%増の898億リンギ(約3兆712億円、1リンギ=約34円)だったと発表した(MIDAプレスリリース参照)。投資認可総額のうち、サービス業が64.4%、製造業が33.9%を占めた。外国投資は67.3%を占めた。第1四半期に認可された投資案件数は1,556件で、3万3,300人の新規雇用を創出するとMIDAは試算している。
ジェトロが6月17日にMIDAから別途入手したデータによると、2025年第1四半期の製造業向け外国投資認可額は、前年同期比32.6%減の255億リンギだった。業種別にみると、基礎金属製品が、前年同期比347倍の87億リンギで初めて首位に立った(添付資料表1参照)。この業種は、鉄鋼製品の上流工程のほか、電気自動車(EV)、省エネルギー車(EEV)、太陽光発電などの重要産業を支え、サプライチェーン強靭(きょうじん)化において重要な役割を果たしているとMIDAは説明した。例えば、シンガポールのグリーン・イースチールによる、マレーシアの鉄鋼メーカーのサザン・スチール買収(3億1,586万リンギ相当)が報じられた。一方、電気・電子製品は、前年同期比77.3%減の75億リンギで順位を2位に落とした。
投資元国・地域別(注)では、中国が77億リンギで首位だった(添付資料表2参照)。とりわけ、化学・同製品、電気・電子製品および基礎金属製品関連の投資が大きく寄与した。次いで、英領バージン諸島は66億リンギ相当の基礎金属製品への投資のみで2番目の投資額だった。これに、米国、シンガポール、台湾が続いた。
日本による製造業投資認可額は、前年同期比47.9%増の12億2,700万リンギで、国・地域別では第7位だった(添付資料表3参照)。投資があった4業種のうち、化学・同製品は22.6倍の9億6,303万リンギで、全体の78.5%を占めた。同期間の主な投資案件として、ミヨシ油脂による工場起工(金額は非公開)、ロボット開発会社のユーゴーによる事業拡大(同)、日本ガイシによる、マレーシアの石油ガス精製設備メーカーKNMグループ傘下の製造子会社買収(2億7,000万ユーロ相当)などが報じられた。
ザフルル・アジズ投資貿易産業相は、世界経済の不透明性が高まる中で堅調な投資を確保できたことは、マレーシアの明確な政策や長期的なファンダメンタルズに対する投資家の信頼を反映したものだと述べた。またMIDAは、今後もマレーシアを高収益企業にとっての最適立地とするため、地域エコシステム強化や人材育成に注力する意向を明らかにした。
(注)最終親会社の所在国・地域を指す。従来作成していた「直接投資を行った国・地域」別統計に加え、2025年以降、MIDAが発表を開始し、同年第1四半期以降は新基準ベースで分析。
(戴可炘)
(マレーシア)
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