3回目の予算案を提出

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2025年06月04日

南アフリカ共和国のエノック・ゴドングワナ財務相は521日、ケープタウンで開催された議会に、3回目の2025年度(2025年4月~2026年3月)予算案を提出した。予算案は、国民統一政府(GNU)内の対立、特に消費税率引き上げ案を巡る意見の相違により、2度頓挫していた(2025年5月8日記事参照)。ゴドングワナ財務相はスピーチで「南アの経済見通しは悪化し、2025年のGDP成長率は1.4%にとどまると予測されている」とし、「持続可能な財政政策が将来の成長の基盤を築く役割を果たす」と述べた。

今回の予算案では、政府債務について、2025年はGDP77.4%(312日時点の推計比1.2%ポイント上昇)から増やさないようにするため、債務返済に充てる予算を増やす。2025/2026年度は収入1ランド(約8円)当たり22セントが債務返済に充てられる見込みだ。総支出は、2024/2025年度の24,000億ランドから、2027/2028年度には28,100億ランドに、年平均5.4%のペースで増加する見込みとなっており、大半を社会保障支出に充てる。中期的には、政府はインフラに1兆ランドを超える投資(特に道路、鉄道、エネルギー、水資源)を行う予定だ。また、3月に提案した2,326億ランドの追加支出を1,801億ランドまで削減する見込みだ。

ゴドングワナ財務相は「国家支出や予算プロセスに関する改革を検討している。支出見直しで特定した支出の削減実施に加え、プログラムではなくセクターに焦点を当てた支出見直しを実行する計画だ」とした。

歳入は、約750億ランドの収入不足が懸念されていた。歳入増加のため、今回はガソリン税引き上げと、アルコール、たばこ製品購入時に物価上昇率を上回る消費税を課すことを盛り込んだ。

民主同盟(DA)はこの予算案を「慎重に支持する」と表明し、今回は改定案を歓迎した。ただし、複数のメディアは、GNU以外の野党や南ア最大級の労働組合の南アフリカ労働組合会議(COSATU)は、この予算案は南アの貧困層と労働者階級を保護していないと抗議していると報じた。 

(トラスト・ムヴントゥガイ)

 

(南アフリカ共和国)

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