イスラエル・イランの軍事衝突に対するトルコの動き
(トルコ、イスラエル、イラン)
イスタンブール発
2025年06月20日
イスラエルとイラン間で攻撃の応酬が続く中、トルコを含む各国の航空会社はイランやイスラエル、ヨルダン、イラクなどへのフライトを6月13日以降停止している。トルコのターキッシュエアラインズはイラン、イラク、シリア、ヨルダン間のフライトを6月30日まで、ペガサス航空はイラン間のフライトを6月30日まで、イラク、ヨルダン、レバノン間のフライトを6月23日まで、それぞれ運休を延長し、予約変更や払い戻し対応を行っている。
ヤシャル・ギュレル国防相は6月18日、トルコ・イラン国境のある東部バン県を訪問し、国境の部隊を視察した。また、アブドゥルカディル・ウラロール運輸・インフラ相は、ホルムズ海峡を通過するトルコ船舶の安全確保のため、船舶保安システム(ISPS)の保安レベルを最高の3に引き上げたと発表するなど、トルコの安全保障の強化に努めている。
現在開いているトルコ・イラン国境ゲートは、トルコのアール県のギュルブラク、バン県のカプキョイ、ハッカリ県のエセンデレの3ゲートがある(添付資料図参照)。報道では、現時点ではイランからトルコへの大規模な人の移動はないとされている。反対に、トルコを訪れていたイラン人が空路閉鎖のため、バンから陸路で帰国しているもようだ。トルコ入国にビザは不要にもかかわらず、イランからトルコへの退避にはいまのところ大きな動きは見られていないとされる。その背景には、ガソリン不足や現在の紛争が一時的で長引かないという考えがイラン国民にあるとも報道されている。トルコのアルパルスラン・バイラクタルエネルギー・天然資源相はイランからの天然ガス輸入に関して、現時点では影響はないとしている。
レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、今回のイスラエルのイランへの攻撃を強く非難した。また、米国、サウジアラビア、パキスタン、ヨルダン、イラン、エジプト、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)などの各国代表と連日、電話会談を続けている。なお、トルコは2024年5月以来、イスラエルとの貿易を停止している。
(井口南)
(トルコ、イスラエル、イラン)
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