カンボジア政府がタイ出稼ぎ労働者の帰国を呼びかけ

(カンボジア、タイ)

プノンペン発

2025年06月24日

カンボジアのフン・マネット首相は6月16日、タイに滞在するカンボジア人労働者の帰国に備えて、雇用受け入れなどの必要な対策を指示したと発表した。すでに1,000人以上の労働者がタイから帰国しており、さらに増える見込みだ。

同首相は、タイと国境を接する7州(注)と在タイカンボジア大使館・領事館に対し、カンボジア人労働者の帰国に備えて、入国書類の簡素化、就労支援、銀行融資条件の見直し、国境から国内各地への移動手段の確保などを指示した。労働職業訓練省は、国境に臨時の就労センターを設置した上で、繊維産業、農業、手工芸、部品組み立ての製造業などの求人が全国で約23万件あると発表した。

カンボジアと周辺国の賃金格差を背景に、多くの労働者が海外に出稼ぎに出ており、労働職業訓練省によると、2024年の海外労働者数は約138万人、海外からカンボジアへの送金額は約29億5,000万ドルに達した。タイには120万以上のカンボジア人が居住・労働しているが、フン・セン上院議長は6月16日に「タイ在住のカンボジア人労働者は追放や差別、虐待・偏見を受ける前に帰国すべきだ」とメッセージを発した。

カンボジアの2024年の失業率は0.3%(世界銀行外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)と低い水準で、かつ近年は投資が順調に増えていることから、特に製造業の進出が多い地域で人手不足感が高まっている。国内外企業による投資は、2025年1月から5月までで290件(前年同期比90%増)のプロジェクトが承認され、5月に承認されたプロジェクトだけで4万4,000人の雇用創出が見込まれている(「クメール・タイムズ」6月11日)。

(注)コッコン州、ポーサット州、パイリン州、バッタンバン州、バンテアイミエンチェイ州、オドーミエンチェイ州、プレアビヒア州

(トー・タイ)

(カンボジア、タイ)

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