2025年版IMD世界競争力ランキング、スイスが首位返り咲き、日本は35位に上昇
(スイス、日本、世界)
ジュネーブ発
2025年06月18日
スイスのビジネススクールの国際経営開発研究所(IMD)は6月17日、世界競争力ランキング2025を発表した。前年調査で2位だったスイスが4年ぶりに首位に返り咲いた。前年調査で4年ぶりに1位となったシンガポールは2位に後退、香港が前年の5位から3位に浮上した。日本は前年調査から3つ順位を上げ35位となった(添付資料表参照)。人口2,000万人超の国・地域を対象にしたランキングでは、首位が台湾、カナダが2位、米国が3位で、日本は14位だった。
同ランキングは69カ国・地域を対象に、各国・地域の競争力について、「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4カテゴリー(合計20項目)の341の指標でスコア付けしている。評価基準の170基準が測定可能な数値データを、92基準が企業幹部などへの調査回答を基にしている。残りの基準は背景情報のみを目的としており、総合ランキングの算出には使用されない。ランキング発表が開始されたのは1989年で、今回の調査から新たにケニア、ナミビア、オマーンの3カ国が加わった。
項目別にみると、スイスは「政府の効率性」「インフラ」の2つのカテゴリーで前年から首位を継続。特に、これらカテゴリーに含まれる政府の財政状況や制度的枠組み、教育が首位を占め、高く評価された。他方、スイスは首位に返り咲いたものの、2025年の結果はスイスが課題に直面しており、相対的に後退した分野があることも浮き彫りにしている。「経済パフォーマンス」(前年12位、今回13位)と「ビジネスの効率性」(前年5位、今回6位)のカテゴリーでは、前年調査からともに順位を1つ下げた。特に懸念されるのは、生活コストや賃料、食料コストなどを含む物価の項目で、前年調査の61位からさらに順位を落として65位となった。この悪化は、ガソリン価格や生活費指数(ともに64位)などの具体的な指標を反映したものとなっている。こうした動向は、スイスの企業が事業展開する高コスト環境を浮き彫りにしており、イノベーションやビジネスのしやすさなどの国家競争力の重要な側面を阻害する可能性があると分析している。
日本は、雇用や科学インフラ、健康・環境の項目が10位以内にランクインして、総合順位を3つ上げ、多くの項目で前年調査から改善されたが、国内経済(前回5位→今回16位)、教育(同31位→同36位)がそれぞれ順位を落とした。
前年調査から5つ以上、大きく順位を上げたのは、カナダ(11位、前年調査からの順位の変化8)、ドイツ(19位、同5)、リトアニア(21位、同9)、マレーシア(23位、同11)、ラトビア(38位、同7)、ハンガリー(48位、同6)だった。
(田中晋)
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