世界最大のバイオ展示会「BIO 2025」、ボストンで開催

(米国)

シカゴ発

2025年06月25日

米国マサチューセッツ州ボストンで6月16~19日、世界最大の創薬・バイオ分野の国際展示会「BIO 2025」(主催:米国バイオ産業協会)が開催された。本展示会には世界72カ国から2万人以上が参加し、会期中には約6万件にのぼる1対1の面談(パートナリング面談)が行われるなど、世界のバイオ業界を牽引するオープンイノベーションの場として高い熱気に包まれた。

この展示会の最大の特徴は、製薬大手、スタートアップ、大学・研究機関、ベンチャーキャピタル(VC)、行政機関など、創薬・バイオ分野の幅広いステークホルダーが一堂に会し、商談を通じて新技術の導入、共同研究、ライセンス契約、投資などの「事業化に直結する国際マッチング」が行われる点にある。特に注目されるのが、主催者が提供するオンライン・パートナリングシステムだ。これは、出展・参加企業が事前にプロフィールや技術情報、提携希望内容を登録し、面談希望者同士が事前に商談を申し込む仕組みであり、展示会開催中に効率的かつ的確にパートナリング面談が実現する。多くの参加者にとって、展示ブースに立ち寄る来場者の対応以上に、このパートナリングシステムこそが出展の主目的となっている。

この展示会で成果をあげるには、単年限りの出展ではなく、複数年にわたる継続的な出展と関係構築が極めて重要とされる。1回の面談で即座に契約に至るケースは少なく、出展を通じてパートナー候補と毎年対面し、関係を深める中で信頼関係を築いていくことが肝要だ。実際、数年連続で出展している日本企業の中には、海外製薬企業との共同研究や導出契約(注)に発展した実績も確認されている。パートナリング面談においても、面談申し込みが承認される「成功率」は、関係性の構築やプレゼン資料の改善などによって年々向上する傾向がある。

ジェトロは2025年もジャパンパビリオンを設置し、24社・団体の出展を支援した。今回初出展のスタートアップ企業や中小企業からは「通常では接点を持ちにくい製薬大手、海外バイオベンチャー、米国内の大学研究者などと直接対話ができ、今後の米国展開や事業化に向けた具体的な足掛かりを得ることができた」といった声が多数寄せられた。

写真 BIO2025会場の様子(ジェトロ撮影)

BIO2025会場の様子(ジェトロ撮影)

写真 BIO2025の会場(ジェトロ撮影)

BIO2025の会場(ジェトロ撮影)

写真 BIO2025ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

BIO2025ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

(注)特定の医薬品の開発や販売に必要な知的財産権の使用許諾を他社に供与する契約のこと。

(井上元太)

(米国)

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