パリ・エアショー開催、宇宙分野の展示拡大
(フランス、日本、ドイツ、カナダ)
パリ発
2025年06月30日
隔年開催の世界最大規模の航空・宇宙分野展示会「第55回パリ国際航空宇宙展(パリ・エアショー」)」が6月16~22日、フランスのパリ郊外のル・ブルジェで開催された。48カ国2,400社が出展し、30万5,200人(うちビジネス関係者14万1,000人)が来場した。
今回のエアショーで初めての取り組みとして、宇宙分野のエコシステム専用会場「パリ・スペース・ハブ」が開設された。会場の中心にはフランス航空宇宙工業会(GIFAS)のスペースが設けられ、機器サプライヤー、システムインテグレーターなど関連企業が出展した。フランス国立宇宙研究センター(CNES)のブースには、ドイツ航空宇宙センター(DLR)とCNESが共同開発し、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の火星衛星探査機MMXに搭載される小型ローバーの模型が展示された。
パリ・スペース・ハブの外観(ジェトロ撮影)
火星衛星探査機に搭載される小型ローバー模型(ジェトロ撮影)
6月20日に会場を訪れたフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、宇宙がGPS位置情報やインターネットアクセスなどの面で全ての空間を支配し、防衛分野でも宇宙産業への依存が進んでいることを指摘し、フランス政府による衛星製造のサポートや、スターリンク型衛星の配備の加速など、宇宙事業の強化について言及した。また、マクロン大統領は10月末までに国家宇宙戦略を策定するとともに、公的・民間セクターのパートナーを集めた国際宇宙サミットを2026年初めに開催することを発表した。
ほかにも、フランス企業では、航空宇宙製造大手サフラン(Safran)がカナダの航空機製造大手ボンバルディア(Bombardier)との防衛技術イノベーションパートナーシップを締結した。航空機製造大手ダッソー・アビアシオン(Dassault Aviation)は同社のスペースプレーンVORTEXプロジェクトがフランス政府からのサポートを得ることを発表した。さらに、エネルギー大手トタル・エナジーズ(TotalEnergies)は、植物油・タンパク質産業大手のフランスのアブリル(Avril)と持続可能な航空燃料(SAF)の生産協力契約を締結するなど、航空・宇宙に関連する各分野での発表が行われた。
「パリ・エアショー」会場内の企業ブース(ジェトロ撮影)
日本からは、日本航空宇宙工業会(SJAC)が複数の会員企業とともに出展したジャパンパビリオンをはじめ、岡山県倉敷市水島地域の航空宇宙産業クラスターMASCなども出展した。SJACは2028年秋に東京で「JAPAN INTERNATIONAL AEROSPACE EXHIBITION 2028」を開催することを発表した。
ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)
次回のパリ・エアショーは2027年6月14~20日に開催の予定。
(井上尚貴、大野裕太郎)
(フランス、日本、ドイツ、カナダ)
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