米テキサスで日本酒試飲イベント開催、Sakeの魅力発信
(米国)
ヒューストン発
2025年06月11日
米国のアジア・ソサエティ・テキサスで6月6日、日本酒のプロモーションイベント「カンパイ!サケ・テイスティング・ツアー」が開催された。同イベントは、アジア・ソサエティと、日米カウンシル、酒類卸しのゲンジサケ(Genji Sake)、輸入・流通の共同貿易が企画・運営した。
会場の様子(ジェトロ撮影)
テキサス州フォートワースとガルベストンの姉妹都市がある新潟県の日本酒「八海山」と「久保田」(ジェトロ撮影)
会場では、主にテキサス州内で姉妹都市(注)として提携している日本の県を産地とする日本酒12種類と、地ビール5種類を展示し、試飲を提供した。来場者はさまざまな日本酒とともに、地元のレストランが提供するつまみの試食、折り紙やガチャガチャなどのアクティビティーのほか、琉球太鼓のパフォーマンスを楽しんだ。会場で配ったパンフレットには、展示した酒類の銘柄と産地のほか、これらが購入可能なヒューストン市内の小売店のリストと、「純米はシャルドネに似ている」というように、日本酒の風味をワインに例えた一覧を掲載し、日本酒の理解を深める工夫を凝らしていた。
イベントでは、共同貿易の金井敦子上級副社長が日本酒の歴史や醸造法、ワインとの比較などについて紹介し、1980年代には約2,500件あった酒蔵が40年間で半数以下に減少したと述べた。一方で、米国での日本酒人気の高まりを受け、日本から米国への日本酒輸出は2012~2022年の間に倍増したという。また、同氏は、ジェトロが支援する日本酒のファン・コミュニティー「#SupportSake」の活動を説明し、日本酒造りを支援しながらその魅力を発信するプロジェクトとの連携について紹介した。
来場者からは「日本酒は、特別な時と場所で飲むもの」という声があった。日本酒に興味は引かれるものの、ワインやビールのように日常的に取り入れるには、合わせる食べ物や値段の点でハードルが高い印象を抱いているようだ。
テキサス州とメキシコに435店舗以上を展開する地元スーパーマーケットのエイチ・イー・ビー(H-E-B、本社:テキサス州サンアントニオ)の店頭では、「変わり種の白ワイン(Interesting White Wine)」コーナーに、日本酒がほかの外国産の酒類とともに陳列されている。
同州は酒類規制が厳しく、認可が複雑で取得が困難と言われている。小売店で販売が許可されている主な酒類は、アルコール度数17度未満のビールとワイン、24度未満のシェリー酒やポートワイン、デザート風味ワイン、ライスワイン(日本酒)に限定される。酒類の規制は州の法律のほか、郡や市などそれぞれの自治体での住民投票で定められ、販売許可の自由度によって、ドライ(全面的に販売禁止)、部分的ウエット(一部販売可能)、ウエット(全面的に販売可能)の3種類の規制区域に分類される。
(注)姉妹都市提携を結んでいるのは、ヒューストンと千葉県千葉市、ダラスと宮城県仙台市、サンアントニオと熊本県熊本市など。
(キリアン知佳)
(米国)
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