米国の「大きく美しい1つの法案」への不支持が支持を上回る、米世論調査
(米国)
調査部米州課
2025年06月05日
米国連邦議会で審議中の予算案(大きく美しい1つの法案)については、富裕層への税負担軽減、メディケイド(低所得層のための医療保険制度)削減などが指摘されている。最近の世論調査では、同予算案への不支持が支持を上回るという結果だった。
経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブは6月4日、トランプ政権などに関する世論調査結果(注1)を発表した。それによれば、米国の予算案を支持するかという問いに対しては、不支持が45%と支持(37%)を上回った。44%が予算案によって財政赤字が「増加する」と回答し、「減少する」(19%)を上回った。
予算案によって最も恩恵を受けるのは、51%が「富裕層」と回答した。「中間層」は21%、「低所得層」は6%だった。予算案によって増税されると考える人は37%、現状維持は23%、減税されるは20%だった。同調査では、トランプ大統領の支持率は45%と、前週(44%)より1ポイント上昇した。
ハーバード大学米国政治研究センターとハリス・インサイト・アンド・アナリティクスが5月に実施した世論調査(注2)によれば、80%が「米国政府は今後数年間で財政均衡を図るべき」と考えていることがわかった。20%は「大幅な財政赤字を続けるべき」と回答。また、78%が財政赤字の削減のためには、「政府支出の削減が必要」と回答した。22%は「増税が必要」と回答した。
トランプ氏は予算の早期成立を望む
ドナルド・トランプ大統領は、予算案が7月4日までに成立することを望んでおり、上院に圧力をかけているといわれる。一方、メディケイドの改正によって、国民がサービスを受けられなくなる可能性を指摘する共和党の上院議員も数人いるという(AP通信6月4日)。なお、下院では5月22日に可決されている(2025年5月23日記事参照)。
5月にトランプ政権の特別政府職員から離職したイーロン・マスク氏(2025年6月2日記事参照)は6月3日、自身のX(旧Twitter)で予算案によって財政赤字が増大すると非難している(CNBC6月3日)。
(注1)実施時期は2025年5月30日~6月2日。対象者は全米の成人1,610人。
(注2)実施時期は5月14~15日。対象者は全米の登録有権者1,903人。
(松岡智恵子)
(米国)
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