南部カマウ空港の拡張・改修プロジェクト着工
(ベトナム)
ホーチミン発
2025年05月15日
ベトナム最南端に位置するカマウ省の人民委員会と、ベトナム空港総公社(ACV)は4月19日、カマウ空港拡張・改修プロジェクトの起工式を開催した(ACVポータルサイト4月21日)。式典はベトナム南部解放・国家統一50周年記念の一環として行われた。
同プロジェクトの総投資額は2兆4,000億ドン(約134億4,000万円、1ドン=約0.0056円)で、ACVが出資する。同空港は、国際民間航空機関(ICAO)が定める基準の「3C」クラス(注)で、長さ1,500メートル、幅30メートルの滑走路が1本、駐機スペース2機分、ピーク時の乗客数は1時間当たり150人、年間旅客取り扱い能力は20万人だ。現在、カマウ~ホーチミン市間の往復路線のみ運航している。
今回の拡張・改修では、同空港を「4C」クラスにアップグレードし、エアバスのA320とA321型機が発着可能な長さ2,400メートル、幅45メートルの滑走路1本を新設し、駐機スペース3機分、誘導路などを建設する計画だ。既存の旅客ターミナルの拡張・改修で年間旅客取り扱い能力を50万人まで向上させ、必要に応じて年間100万人まで増強できるようにする。
2023年6月に公布された2030年までの全国空港開発計画に関する首相決定648/QD-TTgによると、2030年までにカマウ空港の年間旅客取り扱い能力100万人、2050年までに同300万人、貨物取り扱い能力3,000トンを目指すとされている(VNエコノミー3月19日)。
起工式でACV取締役のダオ・ベト・ズン氏は「カマウ空港の改修・拡張プロジェクトは、交通の接続性向上やメコンデルタ地域全体の発展戦略に貢献するものだ。カマウ空港は国防・安全保障の面で重要な位置にあると同時に、ベトナム最南端と政治・経済の中心地を結ぶ航空交通の玄関口の役割を担う」と述べた(「法律新聞」4月19日)。
なお、カマウ省には広さ世界2位のマングローブ林と、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)に登録されたカマウ岬付近の湖沼・湿地域があるなど、エコツーリズムの潜在力を持つ。同省は2025年に、海外観光客6,000人を含む100万人以上の訪客を目標にしている(VNニュース2月11日)。
(注)ICAOが定める飛行場基準では、「滑走路の長さ」と「航空機の翼幅」に基づき、それぞれコード番号(1~4の4段階)とコード文字(A~Fの6段階)を設定している。
(ティエン・グエン、新田和葉)
(ベトナム)
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