ムーディーズが格付け見通しを引き下げ、タイ政府から反論も
(タイ)
バンコク発
2025年05月07日
米国の信用格付け会社ムーディーズは4月29日、タイの信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。タイの有識者や政府関係者からは、見通しの変更で悲観しすぎることはないといった認識や、判断が急ではないかとの反論も出ている。
バンコク銀行副頭取のコブサック・プートラクーン氏は「信用格付け見通しの下方修正が、必ずしも信用格付けの引き下げが差し迫っていることを意味しない」と、自身のフェイスブックに投稿した一方で、警告のサインではあるとの認識を示した。また、同氏は、2008年の世界金融危機の際、タイの格付け見通しは「ネガティブ」に変更されたが、2年後には「安定的」に改善されたことにも言及した。その上で、タイが予測以上の経済成長を示し、財政状況が改善すれば、見通しは上方修正される可能性があるとコメントした。
地元報道によれば、タイ政府報道官のジラユ・フンソブ氏は、格付けの変更を受けて、「米国との貿易交渉が終了しない中、見通しを変更するという判断は性急だ」と指摘した。2025年下半期には、4つの主要な経済を牽引する要素(国内の民間消費、国際貿易、政府支出、民間および公共投資)に対して、経済刺激政策が検討されていると強調した(5月1日付「バンコク・ポスト」紙)。
(藤田豊、ピンラウィー・シリサップ)
(タイ)
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