カナダの4月の失業率は6.9%に、製造業の雇用が減少
(カナダ、米国)
トロント発
2025年05月14日
カナダ統計局が5月9日に発表した4月の雇用統計によると、雇用者数は前月比7,400人増加(0.0%増)の2,096万9,300人と、ほぼ横ばいだった。就業率(15歳以上の人口に占める就業者数の割合)は前月比0.1ポイント減の60.8%、失業率は0.2ポイント上昇の6.9%となり、新型コロナウイルス禍の2020~2021年を除き、2017年1月以来最高だった2024年11月と同水準となった。
統計局は、4月の雇用者数は3月と比べてほぼ変化なかったものの、対米輸出関税を巡る不確実性に直面していることから、製造業(3万1,000人減、1.6%減)と卸売業(2万7,000人減、0.9%減)が減少したと分析している。その一方、連邦選挙の実施で公共行政部門(3万7,100人増、3.0%増)による臨時雇用や、金融・保険・不動産・賃貸・リース部門(2万4,000人増、1.6%増)では、雇用の増加がみられた。2023年と2024年の大半は人口増が雇用増を上回り、就業率は低下傾向にあったが、直近では人口増の鈍化などもあり、2024年11月以降は3カ月間連続で就業率が上昇するなど、雇用は堅調に推移してきていた。
地域別では、オンタリオ州(3万4,600人減、0.4%減)とノバスコシア州(8,500人減、1.6%減)の減少幅が大きく、オンタリオ州では製造業(3万2,700人減、3.9%減)の雇用で著しい減少がみられた。自動車産業の主要拠点の同州ウィンザー市では、自動車産業が製造業雇用の43.1%、総雇用の9.2%を占め、4月の失業率は1.4ポイント上昇し10.7%となった。一方、雇用が増加したのは、ケベック州(1万8,300人増、0.4%増)とアルバータ州(1万6,900人増、0.6%増)だった。
4月は失業者数(求職中または一時解雇中の者、3万9,300人増、2.6%増)も増加した。3月の失職者のうち61%が4月も求職状態となっており、前年同月の57.3%よりも高い水準となっている。
4月の労働力調査の従業員アンケートでは、今後6カ月間に自身の職場で雇用者数が減少すると答えた割合は13.2%に上った。さらには「米国向け輸出に依存している産業」では、18.6%と割合が高くなり、労働者の間で雇用と将来への不安が広がっている。
(井口まゆ子)
(カナダ、米国)
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