日韓経済人会議がソウルで開催、日韓連携は必然的と確認

(韓国、日本)

ソウル発

2025年05月29日

第57回日韓経済人会議(主催:日韓経済協会、韓日経済協会など)が5月27日から28日までの2日間、「日韓国交正常化60年、より広く、より深い日韓協力」をテーマに、ソウル市内で開催された。日韓経済人会議は1969年の第1回以降、1度も中断することなく、日韓で交互に開催されてきた。今回は、日本側から麻生泰・日韓経済協会副会長(麻生セメント会長)をはじめ、73人が参加し、韓国側から金鈗(キム・ユン)韓日経済協会会長(三養ホールディングス会長)ら214人が参加した。

2日間にわたって行われた全体会議では、両国の経済界や大学関係者などから日韓相互交流促進について、具体的な取り組み事例や提言が発表された。28日の第1セッションではジェトロの高島大浩理事が登壇し、「次世代が創る日韓ビジネス」と題して、日韓経済関係の現状、スタートアップやコンテンツ産業への支援事業などについて紹介した。

採択された共同声明では、(1)信頼の構築と発展、(2)経済連携の拡大〔カーボンニュートラルと水素社会の実現、人工知能(生成AI)・半導体の連携、バイオ・ヘルスケア産業の育成、サプライチェーン強靭(きょうじん)化、エネルギー確保、少子高齢化などの社会課題に関する連携〕、(3)環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)の活用(韓国のCPTPP加入に向けた働きかけ)、(4)交流の拡大(出入国時の手続きの簡素化や廃止の要望)の4項目を盛り込んだ。(2)経済連携の拡大では、「いくつもの共通課題を抱えているため、日韓協力は必然的ともいえる」と強調した。

次回の第58回会議は2026年に日本で行われる予定。

韓国経済紙の「毎日経済」(5月28日)によると、会議後の記者会見で韓国側団長の金会長は「トランプ米政権の通商圧力や中国の技術の猛追は、韓国と日本の共通課題だ」とし、「米国の通商圧力に共同対応したらどうかという意見もある」と述べた。日本側団長の麻生副会長も、米国や中国の状況を念頭に「韓国と日本が競争関係にあるのではなく、確実な土台を作らなければならない」と述べ、日韓協力の重要性を強調した。さらに、同紙によると、麻生副会長は韓国の次期政権へのメッセージとして、「日韓関係を重視し、改革を推進してほしいということを伝えたい。両国が力を合わせれば大きな影響力を発揮できるため、新政権は連携を強化しようというメッセージを発信してほしい」と述べた。

(橋爪直輝)

(韓国、日本)

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