米SEMI、2030年まで新設の半導体製造施設の8割がアジア

(シンガポール、ASEAN)

シンガポール発

2025年05月23日

米国の半導体業界団体の国際半導体製造装置材料協会(SEMI)のアジット・マノチャ社長兼最高経営責任者(CEO)は520日、人工知能(AI)の普及拡大で成長する半導体市場の成長機会を獲得するためにも、シンガポールを筆頭とする東南アジアが半導体製造施設の誘致を強化していく必要を指摘した。SEMIによると、2030年までに新設される半導体製造施設の8割がアジア地域となる予定だ。同団体がシンガポールで開催した東南アジア地域最大の半導体展示会・国際会議「セミコン東南アジア2025」の開幕演説で述べた。

写真 セミコン東南アジア開幕式典で記念撮影するシンガポールのタン・シーレン人材相兼第2貿易産業相(右から3人目)と、SEMIのアジット・マノチャ社長兼CEO(右から2人目、ジェトロ撮影)

セミコン東南アジア開幕式典で記念撮影するシンガポールのタン・シーレン人材相兼第2貿易産業相(右から3人目)と、SEMIのアジット・マノチャ社長兼CEO(右から2人目、ジェトロ撮影)

SEMIによると、半導体市場規模は2023年の6億4,000万米ドルから、AIの需要拡大などに牽引され、2030年に1兆米ドルに達する見込みだ。2028年までに105カ所の半導体製造施設の設置が発表され、このうち84カ所が建設中だという。しかし、マノチャ社長は、1兆米ドルの売り上げ規模を達成するには、2030年までにさらに約30カ所の施設が必要と指摘した。同社長は「(新設が発表された)105カ所のうち80カ所がアジア、このうち東南アジアでは6カ所にとどまる」と語った。

台湾の半導体後工程受託製造会社アドバンスド・セミコンダクター・エンジニアリング(ASE)のティエン・ウーCEOは基調演説で、米国の関税措置などで半導体市場を取り巻く先行きが不透明だが、2025年の半導体年間売り上げが7,200億米ドルに達する見込みだと指摘した。ただ、ウーCEOは「現在、AI需要が既存のハードウエアの能力を上回っている」と述べ、ハードウエアへの巨額の投資が必要との認識を示した。さらに、次世代の成長分野として、工場や家庭用のヒト型ロボット(ヒューマノイド・ロボット)を挙げた。

マノチャ社長はまた、SEMIがシンガポールに国際統括本部を設置すると発表した。セミコン東南アジアは例年、マレーシアで開催されていたが、2025年で開催30周年を迎えるのを記念して、約10年ぶりにシンガポールで開催した。同日までに2万8,000人以上が入場登録し、東京エレクトロンや日立、ディスコなどの日系企業約50社を含む国内外の半導体関連企業約500社が出展した。

写真 セミコン東南アジアの展示会場(ジェトロ撮影)

セミコン東南アジアの展示会場(ジェトロ撮影)

(本田智津絵)

(シンガポール、ASEAN)

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