メキシコ経済相、USMCA見直し時期の早期化の意向

(メキシコ、米国)

調査部米州課

2025年05月15日

メキシコのマルセロ・エブラル経済相は5月12日に出席したイベントで、2026年に予定されている米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し交渉について、2025年後半に前倒しして行う可能性を示した。同イベントは「メキシコ・北米経済サミット-USMCAの先へ」と題され、メキシコ経営者連合会(COPARMEX)が主催した。エブラル経済相は、見直し交渉が2025年後半に行われれば、「この協定の運用が明確になり、われわれにとって都合が良い可能性がある」とした。

USMCAは発効6年目の2026年7月1日までに協定の運用状況の「共同見直し」を行うと定めている(注)。見直しの主題は協定の16年間延長を行うかどうかだが、内容についても論点になるとみられる。米国のドナルド・トランプ大統領は過去に、USMCA見直しでは、中国によるメキシコを経由した米国への自動車部品などの輸出に対抗した措置を講じると発言している(2024年10月15日記事参照)。このことから、自動車・同部品の原産地規則の厳格化についても議論される可能性がある。

今回のイベントには政府関係者のほかにも、メキシコ企業の経営者やエコノミストなどが参加し、メキシコ企業の国際競争力強化や北米地域の経済統合について議論を行った。エブラル経済相は「(北米地域が)アジアと競争するためには、米国だけではなく、メキシコやカナダも必要だ。分断されるようなことがあってはならない」とし、米国・メキシコ・カナダの3カ国が経済圏としてまとまる重要性を強調した。また、メキシコの貿易について「現在、メキシコからの輸出は基本的に米国向けで、それが変わることはないが、他地域への輸出を増やすことで、より重要な国になることができる」と述べた。COPARMEXの国際・労働部門のフェルナンド・トレビーニョ副局長は、イノベーション促進やサプライチェーン構築の推進に政府の役割の重要性を主張した。

(注)USMCAの見直しについては、関連資料PDFファイル(408KB)で詳しく解説している。

(加藤遥平)

(メキシコ、米国)

ビジネス短信 b758bc56ed5b1d63