米自動車ディーラーの市場見通しが悪化、コックス・オートモーティブが信頼感調査を公表
(米国)
ニューヨーク発
2025年05月29日
米国の自動車関連サービス企業コックス・オートモーティブは5月21日、2025年第2四半期(4~6月)時点の「ディーラー・センチメント・インデックス(CADSI)」を公表した。今回の調査では、米国の自動車ディーラーが直面している市場環境や将来の見通しに対して、より慎重な姿勢が広まっていることが明らかになった。
CADSIは、新車・中古車販売を行うフランチャイズ系ディーラーと、中古車のみを扱う独立系ディーラーを対象に、四半期ごとに実施される調査だ(注)。市場の現状と予測、ビジネス上の懸念点について、回答を基にスコア化する。指数が50であれば「平均/横ばい」、100に近いほど「好調/増加傾向」、ゼロに近いほど「不調/減少傾向」とされる。今回の調査は4月22日から5月5日にかけて実施された。
足元の市場評価を示す「現況指数」は42となり、前回調査(2025年1月28日~2月10日)の44からやや低下した。特に独立系ディーラーの評価が低く、42から37に低下した。一方、フランチャイズ系ディーラーの評価は56で、54からやや上昇した。来店客数を示す「顧客指数」は10ポイント増の50で、2022年第3四半期(7~9月)以降で最も高い数値となった。販売促進策や、関税引き上げに伴う駆け込み需要が足元の販売を押し上げたことが背景にあることを示唆している。
3カ月後の市場見通しを示す「将来指数」は、前回の58から45に大きく低下した。独立系ディーラーでは57から42へと15ポイント急落したほか、フランチャイズ系ディーラーでも61から56に低下した。駆け込み需要の反動減や、関税引き上げに伴う価格上昇の可能性など、先行きに対する不安が高まっている様子がうかがえる。
ビジネスの成長を妨げる要因として、回答者の51%が「米国経済の先行き不透明感」を挙げ、前回最多だった「金利」(42%)を上回った。「金利」への懸念はやや後退し、前回より10ポイント低下した。3位は「市況」、以下は「政治情勢」「輸入車・部品への関税」が続いた。「輸入車・部品への関税」は前回の7%から33%に急増しており、想定外の展開に対する危機感が強まっていることが見える。
調査結果について、コックス・オートモーティブのチーフエコノミストのジョナサン・スモーク氏は「米国自動車市場が転換期に差しかかっており、ディーラーはその最前線で状況を見守っている」と述べ、「足元の販売ペースは堅調で、フランチャイズ系ディーラーの市場心理は上向き傾向にあるが、2025年は自動車業界にとってジェットコースターのような激動の年になる可能性が高く、今後数カ月は市場の不安定化が懸念される」とコメントした。
(注)対象は全米のフランチャイズ系ディーラー496社、独立系ディーラー481社の合計977社。
(大原典子)
(米国)
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