イスラエル、ガザ地区で大規模地上作戦を開始、食料搬入は許可

(イスラエル、米国、バチカン市国、パレスチナ)

テルアビブ発

2025年05月20日

イスラエル国防軍(IDF)は5月18日、パレスチナ自治区ガザ地区で「ギデオンの戦車(Operation Gideon’s Chariots)」と呼ぶ大規模な地上作戦を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。IDF報道官によると、この作戦は、拘束されている人質の帰還と、ハマスの軍事、統治の能力解体を目的としている。IDFは、(1)ハマスの地上と地下のインフラを攻撃することで作戦の支配地域を確立する、(2)ハマス政権に損害を与えつつ、作戦地域から民間人を退避させる、(3)ハマスの指揮・統制システムを破壊するという3つの基本原則に基づいて行動しているという。

IDFは軍事作戦の必要性に鑑み、予備役の大規模な動員を行ったとしている。イスラエルの現地紙「ハアレツ」紙電子版(5月8日)によると、この作戦のための10万人以上の兵力を必要としており、そのうち約半数に招集命令が送付されたとしている。

なお、イスラエル外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は5月18日、ガザ地区での飢餓危機を回避するため、「基本的な量の食料」の搬入を認める方針を発表した。イスラエル首相府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国のスティーブ・ウィトコフ中東担当特使が示した停戦協議継続の枠組みをハマスが拒否したとして、ネタニヤフ首相は3月2日の時点でガザ地区への全ての物資・供給品の搬入を停止することを決定していた。なお、イスラエルは「人道援助物質がハマスに届かないようにするため、ハマスが援助物質の分配を管理する能力を否定するよう行動する」と付け加えた。

なお、米国のJ.D.バンス副大統領はローマ教皇レオ14世の就任式に参列後、5月20日にイスラエル訪問を予定していたが、米メディア「アクシオス」(5月19日)によると、「ロジスティック上の理由」により、訪問は中止となったという。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘、テヒラ・シャラビー)

(イスラエル、米国、バチカン市国、パレスチナ)

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