タイ、2025年1~4月の貿易統計公表、前年同期比11.7%増
(タイ)
バンコク発
2025年05月29日
タイ商務省が5月26日に公表した貿易統計によると、2025年1~4月の貿易総額は2,165億5,520万ドル(前年同期比11.7%増)だった。輸出額は1,071億5,740万ドル(14.0%増)、輸入額は1,093億9,780万ドル(9.6%増)、貿易収支は22億4,030万ドルの赤字となった。
輸出額を品目別にみると、上位3位はコンピュータ・同部品が108億8,100万ドル(前年同期比64.3%増)、宝石・宝飾品が105億1,800万ドル(2.1倍)、自動車・同部品が95億1,900万ドル(4.8%減)だった(添付資料表1参照)。主要輸出品目の自動車・同部品が減少する一方で、コンピュータ・同部品、宝石・宝飾品をはじめ、電子集積回路(28.1%増)、空調機器・同部品(21.4%増)でも2割超の増加を示した。
輸出相手国・地域別では、輸出額上位3カ国は米国208億4,900万ドル(前年同期比25.0%増)、中国123億3,200万ドル(14.3%増)、日本76億4,900万ドル(1.3%増)だった(添付資料表2参照)。米国関税政策が本格化する前という状況もあり、米国への輸出が好調で牽引役となったほか、世界から注目される有望市場インドへの輸出は実に70.5%増と大きく拡大した(注)。
輸入の品目別をみると、原油が107億9,000万ドル(前年同期比0.8%増)、電子機器・同部品が89億7,800万ドル(36.9%増)、電子集積回路が89億7,400万ドル(10.1%増)だった(添付資料表3参照)。そのほか、宝飾品やその他金属・スクラップなどで、それぞれ3割、2割ほど増加した一方で、コンピュータ・同部品は1割程度減少した。
輸入の相手国・地域別では、中国315億6,400万ドル(前年同期比28.5%増)、日本95億1,700万ドル(0.3%減)、米国68億5,400万ドル(13.1%増)だった。2024年に年間で2割超の増加を示した台湾からの輸入は2割超の減少だった。他方、中国からの輸入は2024年に13.8%増だったことから、2025年になって鈍化しているものの、引き続き増加しているといえる(添付資料表4参照)。その他、インドネシアは4割超と大きく増加、ベトナムからの輸入は1割程度の伸びとなった。
タイ商務省によると、2025年後半に同国は引き続き米国の追加関税によるリスクに直面する見込みだ。同省は官民の関係機関とともに、米国との関税交渉に備えつつ、タイの輸出業者への影響を緩和する救済策について協議を続けている。また、さまざまな自由貿易協定(FTA)交渉も推し進めているほか、特恵関税の原産地規則の悪用防止、密輸抑制、輸入品の品質・規格に関する規制強化も実施し、世界の不確実性からの影響を緩和するべく、引き続き尽力するとしている。
(注)2024年のインドへの輸出は前年比16.2%増。
(藤田豊)
(タイ)
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