メルセデス・ベンツ、米ジョージア州アトランタを北米本社とし、研究開発ハブ新設すると発表
(米国、ドイツ)
アトランタ発
2025年05月28日
ドイツのメルセデス・ベンツは5月22日、米国ジョージア州アトランタ近郊の米本社メルセデス・ベンツUSA(MBUSA、注1)に、ミシガン州にある金融サービス部門とコーポレート部門を移管し、MBUSAを北米本社とするほか、同本社近くに研究開発ハブを新設すると発表した。
ミシガン州デトロイト近郊のファーミントンヒルズの拠点から両部門をMBUSAに移管するほか、数百万ドルを投じて新設する最先端の研究開発ハブには、全米各地の技術チームから人員を移す予定で、最大500人分のポジションをアトランタに移管する。同社によると、ファーミントンヒルズの金融サービス部門は閉鎖し、400人の雇用がミシガン州から失われるが、同州アナーバーの研究開発施設は継続し、最大200人の雇用は維持する(「デトロイト・ニュース」5月22日)。両部門の移管は2026年8月までに完了予定だが、技術職の移管はより時間がかかる見込みだ(「オートモティブ・ニュース」電子版5月22日)。
同社は2018年にアトランタ市に隣接するサンディー・スプリングス市にMBUSAを設立した。MBUSAは現在、約800人の従業員を擁し、米国における全てのメルセデス・ベンツ製品の販売や、マーケティング、カスタマーサービスを担っている。ジェイソン・ホフ北米最高経営責任者(CEO)は「移管によってチームをより緊密にすることで、機動性を高め、市場投入のスピードを上げ、最高の顧客体験を確保することが可能となる」と語った。また、ジョージア工科大学から輩出される人材の雇用や、アトランタ地域のスタートアップなどとの協業が容易になる点も移転の理由だという(デトロイト・フリー・プレス5月22日)。
自動車業界専門メディアのヘッドライト・ニュース編集者のポール・アインセンスタイン氏は、メルセデス・ベンツは既にジョージア州に米国本社を置いているため、この移転は驚くことではない一方で、雇用継続を希望する従業員への機会の提供が必要と述べた(CBSニュース5月22日)。MBUSAによると、対象となるポジションの従業員には移転パッケージ(注2)が提供される予定だ(デトロイト・ニュース5月22日)。
(注1)MBUSAは所在地の「One Mercedes-Benz Drive」にちなんで「1MB」と呼ばれる。敷地面積12エーカー(約4万8,560平方メートル)、建物面積20万平方フィート(約1万8,580平方メートル)で、1,000人を収容可能。
(注2)従業員が業務上の理由で移転を余儀なくされる際に、雇用主が提供する福利厚生やサービス。
(横山華子)
(米国、ドイツ)
ビジネス短信 8d5f8e37909604fe