ポーランド中央銀行、政策金利を5.25%に引き下げ
(ポーランド)
ワルシャワ発
2025年05月13日
ポーランド国立銀行(NBP、中央銀行)は5月7日、政策金利を5月8日から0.5ポイント引き下げ、5.25%にすると発表した。政策金利の引き下げは2023年10月以来19カ月ぶりとなる。さらに、今回の発表では政策金利のほか、次の金利の変更も発表されている。
- ロンバートレート(債権担保貸付金利):5.75%
- 預金金利:4.75%
- 再割引利率:5.30%
- 公定歩合:5.35%
NBPの金融政策審議会は、インフレ率の低下や賃金上昇率の鈍化、景気後退の兆候が見られたことを理由に、金利の引き下げを決定したとしている。また、ポーランド中央統計局(GUS)の速報値によると、インフレ率は2025年3月の4.9%から4月には4.2%に鈍化したが、これは燃料価格の低下や、食品の付加価値税(VAT)の税率引き上げ(2024年4月)による影響が薄れたことを反映していると指摘した。労働市場では、引き続き失業率は低いものの2025年3月の企業部門での雇用数が前年同月比で減り、また賃金上昇率も依然として高水準ではあるが低下しているとし、2025年第1四半期のGDP成長率は前期を若干下回ると見ている。今後のNBP金融政策審議会決定は、インフレと経済活動の見通し次第とした。
オランダに本社を置く金融機関INGグループは、今回のNBPの発表は同社の予想および市場予想に沿ったものだったと評価した。INGは今後の見通しとして、2025年末までに0.75ポイントの追加利下げが行われ、次の利下げは7月に行われると予測しており、2026年末までに3.75%に引き下げられるとみている。
ワルシャワ経済大学の橋本知幸准教授は「景気があまり芳しくない上に、賃金レベルの伸びが弱いことを踏まえれば、ここで金融政策審議会が手を打っておくというのは妥当だ。アナリストの間では意見が割れており、第2四半期のデータを見た上で7月にさらなる引き下げを試みるだろうという見解もあれば、早くも来月(6月)に追加引き下げをするのではという見解もある。マーケットに決定的な変動はみられない。来月にはNBPから何らかのシグナルが送られるのではないか」とみている。
(金杉知紀)
(ポーランド)
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