CELAC・中国会合が開催、中南米諸国と中国がグローバルな課題で連携強化
(ブラジル、中国)
調査部米州課
2025年05月20日
北京で5月12日、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)・中国の第4回閣僚級会合が開催された(5月12日付政府系現地紙「アジェンシア・ブラジル」)。ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領が5月12~13日に中国を公式訪問したことに伴い、開催された(2025年5月15日記事参照)。CELACからはチリのガブリエル・ボリッチ大統領やコロンビアのグスタボ・ペトロ大統領も出席した。会合では、トランプ米政権による保護主義的な関税政策に対抗するべく、両国・地域間での関係強化をあらためて強調した。
CELACは、2011年12月にキューバを含む中南米・カリブ33カ国の全てが参加する対話のメカニズムとして設立された。設立以降は1年に1度程度の首脳級会合を開催してきたが、域内各国で政治思想の違いから開催が中断した時期もあった。この度の会合では、世界経済の不確実性が高まる中、あらためて中南米カリブ諸国間の連携も強化された。
今回のCELAC・中国会合では、2025~2027年の両国・地域間の行動計画「中国・ラテンアメリカ・カリブ共同体による重点分野の協力に関する共同行動計画(2025~2027)」を発表し、サイバーセキュリティーや気候変動対策といったグローバルな課題に、両国・地域が協力して取り組んでいくことをあらためて示した(2025年5月16日記事参照)。なお、ブラジルは中国の「一帯一路」には加盟していないが、こうしたイニシアチブに可能な限り連携していくことも明らかにした(5月12日付政府系現地紙「アジェンシア・ブラジル」)。
ブラジルにとって中国は、輸出入ともに最大の貿易相手だ。ブラジル商工サービス省COMEXSTATによると、2024年のブラジルから中国向け輸出は輸出額全体の28%、中国からの輸入は輸入額全体の24.2%で、中国はブラジル貿易の要だ。なお、これに次ぐのが米国で、輸出入ともにブラジルにとって第2位の貿易相手だ。
CELAC・中国会合の開催に際し、ブラジル教育開発研究所のロブソン・バルデス教授は「米中間の貿易摩擦により、中南米地域の重要性は増している」と強調した。また「米国はこれまで中南米諸国を『裏庭』とみなしてきたが、中国の経済力が強化され、中国が中南米地域に接近する中、米国は中南米諸国における立ち位置を改めることになるだろう」と述べた。ルーラ大統領は多国間主義と自由貿易を推進し、米国の保護主義的な政策には批判的な立場をとっている。
(辻本希世)
(ブラジル、中国)
ビジネス短信 65c01487f7c4f84c