韓国製造業の海外需要依存度が上昇、米中依存へ懸念の声も
(韓国、中国)
ソウル発
2025年05月27日
韓国経営者総協会は5月21日、「韓国製造業の国内および海外需要への依存度の現況と示唆点」と題したレポートを発表した。レポートによれば、2023年の韓国製造業のGDPは4,838億ドルとなり、2000年(1,612億ドル)に比べ3倍に増加した。また、2023年の韓国製造業のGDPのうち、41.6%(2,014億ドル)は国内需要、58.4%(2,824億ドル)は海外需要に起因していたことが明らかになった。これは、製造業GDPのうち国内需要が47.3%、海外需要が52.7%だった2000年に比べ、製造業GDPの海外需要への依存度が相対的に増加していることを示している。
2023年の韓国製造業GDPの海外需要依存分の内訳を国別にみると、米国(13.7%)が最も高く、次いで中国(10.8%)、日本(2.6%)となった。ただし、2000年比でみると、米国がやや減少(14.8%→13.7%)した一方で、中国が2倍以上に増加(4.8%→10.8%)しており、韓国製造業の中国への依存度が高まったことがうかがえる。また、米国と中国への依存度の高さ(計24.5%、2023年)は、今後、米中間の貿易紛争が深刻化し、両国の経済活動が萎縮した場合、韓国の製造業に大きな影響が及ぶ可能性があることを意味しているという。
中国では事業統廃合の動きも
ジェトロが2025年4月に中国湖北省武漢市所在の韓国系公的機関に対して行ったヒアリングの中でも、「中国自体の産業構造の転換や、中国企業の技術開発のスピードによって、韓国企業にとって中国企業との協力が必要になっている」と、高い対中国依存が今後も続くことが指摘された。一方で、米中貿易摩擦など世界的な不確実性の高まりによって、米中に大きく依存している韓国企業にとっては難しい状況が続くという懸念の声も聞かれた。
また、ヒアリングでは「これまでの韓国企業の中国進出は、沿海地域を中心に進み、徐々に内陸地域にも進出してきたが、再び沿海地域に回帰するという事業統廃合の動きが一部企業で見られる」という話もあった。米中依存や世界的な不確実性が増す中で、今後韓国企業がどのように中国と向き合っていくのかが注目される。
(橋本泰成)
(韓国、中国)
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