メキシコ市国際空港、1時間当たり運航便数を44便に引き上げ

(メキシコ)

メキシコ発

2025年05月29日

メキシコのインフラ通信運輸省(SICT)は5月26日、連邦民間航空庁(AFAC)の決議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを連邦官報で公示し、メキシコ市国際空港(AICM)の1時間当たりの運航便上限数を、43便から44便に引き上げることを発表した。2025年夏季(3月30日~10月25日)と2025年冬季(10月26日~2026年3月末)の期間に適用し、同期間以降も継続される可能性がある。

今回の増便の背景には、以前からのAICMの飽和状況がある。SICTはかつて、AICMの1時間当たりの運航数上限について、2022年8月(61便から52便)、2023年8月(52便から43便)に立て続けに引き下げ、フェリペ・アンヘレス国際空港(AIFA)の利用を促進する措置を講じていた(2023年9月4日記事参照、注)。しかし、この措置については、導入当初から国内航空会社や業界団体などから批判を受けており、その後のAICMの混雑解消につながることはなかった。連邦官報では「空港開発計画の順守、空域状況の分析、インフラや諸条件が整っていると証明された場合に限り、同空港の運航便数は44便を超えて引き上げ可能」としている。

2026年サッカーワールドカップに向けた改修工事も開始

2026年FIFAワールドカップを米国・カナダと共同開催するメキシコでは、大会期間中に600万人以上の観光客が訪れると見積もられている。同大会開催に向けたインフラ整備の一環として、AICMでは5月17日から改修工事が始まった。第1段階として、大会直前の2026年5月まで、第2段階として、2026年8月~12月にかけて実施する予定だ。

AICMのインフラについては、かねてワールドカップを見据えた改善の声が上がっており(「エル・フィナンシエロ」紙5月7日付)、今回の増便はその第1歩とりえる。他方で、1時間当たり1便のみの増加では実質的な変化が見られず、不十分とする批判の声もある(航空関連メディアA21、5月27日付)。

(注)メキシコ市国際空港の飽和状態は継続しており、ターミナル1は午前5時~午後10時59分、ターミナル2は午前6時~午前10時59分、午後1時から午後7時59分、午後9時から午後9時59分の各時間帯に混雑が発生していると指摘されている。

(深澤竜太)

(メキシコ)

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