大阪・関西万博に合わせてデンマーク食品企業ミッション団が来日、大阪でセミナーを開催

(日本、デンマーク)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年05月12日

在日デンマーク大使館と在大阪デンマーク名誉領事館は424日、大阪商工会議所と共催で、デンマーク・日本食品産業セミナーとネットワーキング交流会を大阪市内で開催した。セミナーでは、デンマークのヤコブ・イェンセン食料・農業・水産相によるスピーチのほか、同国経済団体による食品産業に関するプレゼンテーションが行われた。

本イベントは、デンマーク国王フレデリック10世の来日と大阪・関西万博におけるデンマーク・ナショナルデー開催に伴い、同国の食品産業企業19社で構成されるミッション団が来阪した機会に、日本と同国の食品業界の相互理解促進と新たなビジネス機会の創出を目的に開催したもの。

イェンセン氏は開会あいさつで、デンマークは小国だが食料分野の生産性については世界のフロントランナーで、昨今は高品質かつ環境負荷の低い事業に注力していると強調。日本とは遠く離れているが、食料分野では共通の問題意識をもち、また長年のビジネスにおける協業関係だけでなく、王室間の交流もあり、重層的な関係のさらなる発展に期待したいと述べた。

写真 開会あいさつを行うヤコブ・イェンセン食料・農業・水産相(ジェトロ撮影)

開会あいさつを行うヤコブ・イェンセン食料・農業・水産相(ジェトロ撮影)

大阪商工会議所の鳥井信吾会頭(在大阪デンマーク名誉領事、サントリーホールディングス代表取締役副会長)はデンマークについて、国民の幸福度が世界最高位の国の1つというだけでなく、製薬大手ノボノルディスク、海運世界最大手A.P.モラー・マースク、飲料大手カールスバーグ、食肉大手デニッシュ・クラウン、玩具大手レゴなど世界トップレベルの企業が集積していると紹介。サントリーは65年前に20人のエンジニアを同国に派遣してビールづくりを一から学び、それ以来、社内で杯を上げる際には、デンマーク語で「乾杯」を意味する「スコール」という言葉を使っているというエピソードを語った。

参加したデンマーク企業団からは、同国の農業・食品産業の特徴と日本との協業に関する期待が述べられた。食品産業連盟のダイレクターのヤコブ・ラブ氏は、デンマークは農業由来の温室効果ガス削減目標を掲げており、農場から食卓に至るまでの気候変動対策の取り組みにおいて、日本は課題解決に取り組むパートナーになりうると指摘。デンマークの企業は再生農業、省エネ技術、人工知能(AI)を活用した安全性の高い工場運営、二酸化炭素(CO2)排出の最小化、生物多様性の向上に注力しており、これらの強みと、日本の優れた技術と食文化への深い敬意を組み合わせることで、高品質で持続可能性の高い食品の共創につなげられると評した。

イベント最後のネットワーキング交流会では、両国企業による活発な情報交換が行われた。

写真 ネットワーキング交流会の様子(ジェトロ撮影)

ネットワーキング交流会の様子(ジェトロ撮影)

(齋藤寛)

(日本、デンマーク)

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