大阪・関西万博サウジアラビア館で「成長へのギア」議論

(サウジアラビア)

リヤド発

2025年05月28日

ジェトロは5月22日から23日の2日間、サウジアラビア投資省(MISA)と共催で、「成長へのギア(Geared for Growth )」と題するビジネスイベントを、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のサウジアラビア館で開催した。

イベントでは「未来の工場」「最後のフロンティアである宇宙分野」「AI、データ、デジタルインフラの未来」「経済特区制度」「投資環境とインセンティブ」をテーマに、サウジアラビアの最新情報が提供された。「未来の工場」のセッションでは、投資省のアブドラジーズ・アルハルビ事業開発上級課長による投資戦略の説明の後、国立産業開発センター(NIDC)のサミ・サルハン主席顧問が政府の重点産業への取り組み状況について説明した。サウジアラビア輸出開発庁のアブドラジーズ・アルタラシ部長(サービス分野担当)は国家改革戦略「ビジョン2030」で輸出増加が果たす重要性を示した上で、海外輸出支援の取り組みを紹介した。大阪市北区に本社を構える日阪製作所は、サウジアラビアでの工場設立の経緯を説明した。

「宇宙分野」と「AI、データ、デジタルインフラ」では、両分野の潜在的な成長可能性に焦点を当てた議論が展開された。政府関係者は最新レポート結果に基づき、サウジアラビア国内の宇宙ビジネス市場が世界平均より早い速度で拡大を続けており、2024年の19億ドル規模から2035年には56億ドル規模に成長する見通しだと示した。AI(人工知能)分野では、サウジアラビア・データ・AI庁が300以上の政府機関とネットワーク連携した取り組みを進めていることなどを紹介した。

イベントの冒頭には、「エキスポナー(Exponeur)」の創設が発表された。これは万博をプラットフォームとして、世界各国の企業家をつなぐことを目的とする試みで、サウジアラビアのG20若手起業家代表を務めるファハド・ビン・マンスール・ビン・ナセル・アール・サウード王子の支援を受けて、創設者マンスール・アルサノニ氏が運営するもので、日本ではSBIホールディングスがスポンサーとして支援している。

写真 エキスポナーの狙いを説明するファハド王子(ジェトロ撮影)

エキスポナーの狙いを説明するファハド王子(ジェトロ撮影)

(秋山士郎)

(サウジアラビア)

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