中国EU商会、米中貿易摩擦による影響調査の結果を報告

(中国、EU)

北京発

2025年05月12日

在中国の欧州企業の団体である中国EU商会は5月8日、「米中貿易戦争」と題したアンケート調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同調査は4月17~27日に実施され、有効回答数は162となっている。

米中両国による関税措置の影響に関しては、中国の米国製品への関税措置の影響を受けていると回答した企業の割合が44%となった。米国から輸入する商品の価格上昇への対応としては、53%の企業がサプライヤーの変更を実施・検討していると回答した。また、米国の中国製品への関税措置の影響を受けていると回答した企業の割合は31%となった。米国向け輸出商品の価格上昇への対応としては、販売価格の据え置きが25%、販売価格の引き上げの実施・検討が20%となった。

2025年の年初と比較したビジネス環境の変化については、「より困難な状況になっている」が59%、「変化なし」が36%だった。また、今後2年間の収益性については、58%が「悲観的」と回答し、「楽観的」は7%だった。

サプライチェーンへの影響に関しては、「サプライチェーンが混乱している」が51%、「(影響を)評価中」が31%、「まったく影響がない」が18%となった。また、「米中貿易戦争」の影響を受けた事業戦略の変更については、「現状変更はないが状況を注視している」が57%、「サプライヤーや原材料の変更を実施・検討」が17%、「中国における投資を延期」が14%、「中国での地産地消戦略推進のため、中国における投資拡大を実施・検討」が14%となった。これらの結果について同商会は、「米中貿易戦争」は欧州企業のサプライチェーンと商品に影響を与えているが、対策はまだ少ししか講じられていない、とコメントした。

「米中貿易戦争」によるポジティブな影響に関しては、「ポジティブな影響はなく、今後も期待できない」が43%、「ポジティブな影響はまだ出ていないが、期待している」が36%、「中国系企業との取引が増加している」が13%、「在中国の外資系企業との取引が増加している」が6%だった。

中国EU商会のイェンス・エスケルンド会頭は、「米中貿易戦争」がEU加盟国にもたらす不確実性は説明し難いが、中国はピンチをチャンスに変え、投資先としてふさわしい安定性と予測可能性を証明できると信じていると述べた。

中国と欧州、対話の強化が進むか

なお、中国外交部は5月6日、中国と欧州議会が相互交流の制限を全面的に解除することを決定したと発表し、同措置によって双方の交流と理解がより深化し、中国・欧州関係の持続的で健全かつ安定的な発展に向けた新たな原動力となることを期待するとコメントした(2025年5月12日記事参照)。

(亀山達也)

(中国、EU)

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