「PENANG SLUSH’D 2025」がペナンで初開催、世界遺産の街からイノベーション創出
(マレーシア)
クアラルンプール発
2025年05月22日
世界的に有名なスタートアップイベント「SLUSH」のグローバル開催地として、マレーシア北部の産業集積地ペナン島で初めて「PENANG SLUSH’D 2025
」が5月19日から21日にかけて開催された。同イベントでは、ユネスコ世界文化遺産に登録されているジョージタウンのエリア内の4つのイベント会場で、投資家ステージイベント、スタートアップブース出展、ネットワーキングイベントなどが行われた。歴史的な建造物をイベント会場として使用し、通常はイベント会場間をシャトルバスで結ぶところ、本イベントではトライショー(注)を活用したり、ネットワークイベントにペナン州のローカルフードを提供したりして、参加者間の交流を盛り上げた。
イベントを共催するペナン州のデジタル経済促進機関デジタル・ペナンによると、ペナン州の州都ジョージタウンは、スイスのエコシステム研究センターのスタートアップ・ブリンクが発表するエコシステムランキングにおいて、マレーシアでクアラルンプールに次ぐ2番目、東南アジアでは8番目に付けた。特にハードテックやディープテックの分野では、海外企業とも親和性が高い。
ジェトロは、日本企業とスタートアップなどの海外企業の協業連携のためのプラットフォーム「ジャパン・イノベーション・ブリッジ(J-Bridge)」と対日投資促進支援事業を紹介するための広報ブースを出展した。
日本企業では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)認定の宇宙ベンチャーで、マレーシア科学大学(Universiti Sains Malaysia)と共同研究を行う天地人が登壇し、衛星データを活用したソリューションについて発表した。有識者を招いたパネルディスカッションでは、東京証券取引所と、マレーシアでスタートアップ支援を行うNEOLIZEが、「日本のスタートアップ経済圏の伸長と東南アジアとの関わり」をテーマに議論を行った。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
同イベントには、日本企業とも連携実績があるペナン州の新素材スタートアップのエダバイオテック(ADA Biotech)も出展した。同社は、商品にならない砕米やキャッサバなどの農業廃棄物を原料としたストローや食器などの生分解性製品を製造している。今後、100%自然にかえる同社の素材の特性を生かし、プラスチック製品の代替商品として日本企業との連携強化や日本への進出を目指している。同社のアクマル・アミルCEO(最高経営責任者)によると、「マレーシア・イスラム開発庁(JAKIM)のハラール認証とHACCP認証を受けたストローは世界で初めて。協業連携先として、日本企業の製品開発力の高さと、日本のマーケットへのアプローチに期待している。現在、製品の改良を進めるため日本のR&Dパートナー企業と議論を進めている」という。
エダバイオテックのブース(ジェトロ撮影)
(注)トライショーとは、マレーシアをはじめ東南アジアで使われている三輪自転車。
(都築佑樹、アンドリュー謝克耀)
(マレーシア)
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