米GMと韓国LGES、EV用の新バッテリーセル開発を発表、量産は2028年目標

(米国、韓国)

シカゴ発

2025年05月15日

米国自動車大手のゼネラルモーターズ(GM)は5月13日、韓国のバッテリーメーカーLGエナジーソリューションズ(LGES)とともに、GMの電気自動車(EV)型のピックアップトラックと大型のスポーツ用多目的車(SUV)向けに、新たに開発したリチウムマンガンリッチ(LMR)角型バッテリーセルの量産を進めると発表した。

GMは、EVにLMRバッテリーを初めて採用する自動車メーカーとなることを目指しており、GMとLGESの合弁会社アルティウムセルズ(本社:オハイオ州)は2027年末までに、LGESの施設でLMR角型バッテリーセルの試験生産を開始する。さらに、2028年までに米国で量産を開始する計画だ。

EVなどに使用するリチウムイオンバッテリーの正極材には、主にコバルト、ニッケル、マンガンを使用し、その中でもコバルトは最も高価な材料だ。一方、LMRバッテリーセルには、安価なマンガンを高い割合で使用するが、より高い容量とエネルギー密度を実現することが可能だ。両社の開発したLMR角型バッテリーセルは、既存の最も高性能のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーセルと比較しても、同様のコストで33%高いエネルギー密度を実現するという。GMは今後、EVピックアップトラックにLMR角型バッテリーセルを搭載することで、400マイル(約640キロ)を超える航続距離を提供しつつも、現行の高ニッケルバッテリー搭載モデルと比較して、コストを大幅に削減することができるとしている。

また、コバルトとニッケルは米国内では容易に入手することができない重要鉱物とされている(テッククランチ5月13日)。GMは、これらの含有量を減らしたLMRバッテリーセル技術が同社のバッテリーサプライチェーンとセルの製造プロセスに統合され、国内でのバッテリー生産への戦略的投資と、北米でのリチウム、グラファイト、マンガンのような重要鉱物の調達を強化することができるとしている。

ほかの企業もLMRセルの検討を進めている。フォードの電気駆動エンジニアリング部門のディレクターのチャールズ・プーン氏は4月23日にソーシャルメディア上で、同社が第2世代LMRバッテリーセルの試作生産を開始したと明らかにし、2030年までにより長距離を走行可能な低価格EVを発売する計画だと発表した(デトロイトフリープレス4月24日)。

(星野香織)

(米国、韓国)

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