サウジアラビア「ビジョン2030」、2024年の進捗報告を発表
(サウジアラビア)
リヤド発
2025年05月15日
サウジアラビア政府は4月25日、2030年までの国家改革戦略「ビジョン2030」の進捗について、2024年の年次報告を行った(年次報告書ウェブサイト)。同戦略は2016年4月25日に発表され、丸9年が経過した。
報告書によると、サウジアラビアのビジョン2030実現に向け、中心的な役割を果たしている「Vision Realization Programs」や、各分野の国家戦略をまとめた「National Strategies」の目標値のうち93%が超過達成、目標達成、または達成間近(目標達成値の85%から99%)となった。また、合計1,502件の取り組みのうち、85%は完了(674件)、または計画どおりに遂行されている(596件)。
雇用関連の成果は目覚ましく、失業率は2024年目標値の7.8%から、2030年目標値の7.0%にまで到達した。女性の労働参加率は、当初の2030年目標値30%を2023年中に達成したことを受け、40%に修正した。2024年目標値の35.9%には届かなかったが、33.5%まで上昇し、達成率93%となった。中小企業の従業員数は786万人に到達し、2024年目標値と比較して110%の達成率を記録している。政府系ファンドの公共投資基金(PIF)によって設立された企業は93社に及び、新規雇用の創出につながった。PIF総資産額は9,400億ドルまで達し、2024年目標値8,800億ドルと比較し、106%の達成率となった。地域統括会社(RHQ)の数も571社に増加し、2030年目標値500社を超えた。
国際的なデジタル・ガバナンス・ランキングでも大きく前進し、国連発表の電子行政参加指数では世界第7位、電子政府開発指数では第6位となり、電子行政参加指数は2030年目標値の10位以内を達成した。アブシャ(Absher、注)などの政府系デジタルプラットフォームの強化や、サウジデータ・AI庁(SDAIA)の立ち上げなどが取り組みを加速させている。
観光分野では、2024年に2,970万人の外国人を含む合計1億1,590万人の観光客を記録した。国連が発表した外国人観光客の増加率では、G20のうち1位を記録し、2019年と比較して、国際観光収入は約2.5倍になった。観光業への従事者も増加し、100万人近くに上っている。
未達成の分野については、非石油GDPに占める非石油製品の輸出割合は達成率72%だったが、前年の66%と比較して上昇を記録した。GDP、非石油部門GDPに関しても、前年比1ポイント増となった。一方、中小企業向け融資率や非石油部門の支出に占める現地調達割合に関しては、前年比2%ポイント減だった。
なお、サウジアラビア「ビジョン2030」進捗の状況(進捗指数)は、添付資料にとりまとめた(添付資料表参照)。
(注)アブシャ(Absher):政府のさまざまなサービスを利用できるデジタルプラットフォーム
(平田若菜)
(サウジアラビア)
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