パスポートや滞在許可証の証明写真がデジタル化

(ドイツ)

ベルリン発

2025年05月08日

ドイツでは51日から、パスポートや滞在許可証などの申請に際して提出する証明写真について、印刷された写真からデジタル形式に変更となった(ドイツ連邦内務省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今後は、証明写真を該当の役所内、または認定されたフォトスタジオやドラッグストアなどのサービスプロバイダーで撮影することが求められる。役所内で撮影された写真は、暗号化されたクラウドを通じて役所の当該部署に送信される。役所外で撮影された場合は、申請者は写真そのものの代わりに発行される二次元コードを申請窓口に提出することになる。

今回の措置により、より確実で迅速な本人確認が可能となり、また証明写真が直接担当部署に送られることから、モーフィング(注1)などの偽造防止にもつながるとされている。さらに、身分証明書の受け取りが今後は郵送でも可能となる。

なお、51日以降も、猶予期間として731日までは従来どおり印刷された写真での提出も認められている。報道によると、地元のフォトスタジオへの配慮から写真撮影機器の導入を見送る自治体もあり、設備導入の進捗はまちまちだという(ドイツ公共放送ARD「ターゲスシャウ」51日)(注2)。ベルリン州移民局は、51日から今回の措置に係るパスポート写真撮影用のセルフサービス端末を設置し、稼働したと案内。一方で、導入初期には同端末の技術的な不具合が発生する可能性があるため、円滑な手続きのために引き続き必ず印刷された最新のパスポート用写真を用意して来庁するよう呼びかけている。

写真 ドイツ大手ドラッグストア「dm」の証明写真撮影コーナー、デジタル形式に対応していることが張り紙で案内されている(ジェトロ撮影)

ドイツ大手ドラッグストア「dm」の証明写真撮影コーナー、デジタル形式に対応していることが張り紙で案内されている(ジェトロ撮影)

(注1)内務省によると、複数の顔画像から1つの画像を合成し、1つの写真に複数の異なる人物の顔の特徴を表示させる技術を指す。モーフィングによる偽造により、例えば2人が交互に同じパスポートを使用できるリスクが生じる。

(注2)今回の制度変更にあたっては、証明写真が役所内でのみ撮影される案が検討されていたが、これまで証明写真の撮影を行ってきた業界へのダメージが大きいとして、業界団体が強く反対していた。

(打越花子)

(ドイツ)

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