台湾のEMS企業が相次いで米国への投資を発表
(台湾、米国)
調査部中国北アジア課
2025年05月12日
台湾の大手電子機器受託製造(EMS)企業であるウィストロン(緯創資通)は5月6日、取締役会で米国への約12億ドルの投資計画を承認した。米国子会社Wistron InfoCommへの5億ドルの増資を行うとともに、約7億ドルでテキサス州の工場用地および設備の購入、工場の改修を行うとしている。
台湾にはEMS世界最大手の鴻海科技集団(以下、鴻海)をはじめとするEMSメーカーが多く、中でも6大EMSと称されるのが、鴻海、インベンテック(英業達)、クアンタ・コンピュータ(広達電脳)、ウィストロン、コンパル(仁宝電脳)、ペガトロン(和碩聯合科技)。従来、EMSの主要生産品目はパソコン(PC)やスマホ、サーバーだったが、人工知能(AI)の需要が高まるにつれて、米国からのAIサーバーの受注が好調に推移していることもあり、米国の関税政策への対応も見据え、各社は相次いで米国への投資増強を発表している。米国のドナルド・トランプ大統領が就任した2025年1月以降に発表された6大EMSの米国投資案件は、上述のウィストロンによる案件を含めて、次のとおり。
- ウィストロン:5月6日に、米国子会社Wistron InfoCommへの5億ドルの増資を行うとともに、約7億ドルでテキサス州の工場用地および設備の購入、工場の改修を行うと発表。
- 鴻海:1月15日、米国子会社のIngrasys Technologyが約1億3,000万ドルでカリフォルニア州の土地および工場を取得。3月24日に、Ingrasys Technologyが約1億4,000万ドルでテキサス州の土地および工場を取得。
- インベンテック:4月28日、8,500万ドルでテキサス州に工場を設立することを発表(投資時期は2025年5~12月を予定)。
- クアンタ:5月6日、約3,500万ドルでカリフォルニア州の工場設備を増強したと発表。
- コンパル:2月14日、米国子会社のBillion Sea Holdingsを通じてインディアナ州のCompal USAに1,000万ドルを増資。
- ペガトロン:3月21日、米国カリフォルニア州に新たにオフィスを開設。
上記6社のうち、ペガトロン以外の5社が米国での工場設立もしくは拡張を決定している。
(江田真由美)
(台湾、米国)
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