米エヌビディア、AMD、AWSがサウジAI企業ヒューメインと戦略的提携、総額150億ドル超のAIインフラ投資へ
(米国、サウジアラビア)
サンフランシスコ発
2025年05月16日
米国半導体大手エヌビディアとサウジアラビアの人工知能(AI)スタートアップ「ヒューメイン」は5月13日、リヤドで開催された米サウジアラビア投資フォーラムで、サウジアラビアにおける「AIファクトリー」構築に向けた戦略的提携を発表した。AIファクトリーとは、最大500メガワット(MW)級のハイパースケールAIデータセンター群を指す。その第1段階として、エヌビディアの最新AIチップ「GB300グレースブラックウェル」を1万8,000個搭載し、「インフィニバンド」ネットワークで高速接続されたスーパーコンピュータを初期導入する。今後5年間で、数十万台規模の同社製GPUを使用する計画も明らかにされた。
この提携の直前、5月12日にローンチされたヒューメインは、政府系ファンド「公共投資基金(PIF)」傘下にあり、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会長を務める。同社は、次世代データセンターの構築、アラビア語対応の大規模言語モデル(LLM)の開発、産業向けのAIソリューションの展開などを通じ、サウジアラビアのAI国家戦略の中核を担う。
同日、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)もヒューメインと戦略的提携を発表した。両社は今後5年間で最大100億ドルを共同投資し、500MW相当のAI計算能力を展開する計画だ。AMDは、同社のAIコンピューティング製品全体(GPU、CPU、DPUなど)およびROCmオープンソフトウエアエコシステムを提供する。
米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)も同日、ヒューメインとの戦略提携を締結した。共同で50億ドル超を投資し、「AIゾーン」をサウジアラビア国内に構築する。同社は既に、2026年稼働予定の「AWSインフラリージョン」構築に向け、53億ドル規模の投資を進行中だ。AIゾーンでは、アマゾン・セージメーカー、アマゾン・ベッドロック、アマゾンQなどのAIプラットフォームやサービス、人材育成プログラムを提供し、同国内のAIスタートアップ支援と産業活用の促進を図る。
また同日、米スーパーマイクロも、サウジアラビアの有力データセンター企業のデータボルトと200億ドル規模の戦略的提携を発表した。スーパーマイクロは、サウジアラビアと米国のデータボルトのハイパースケールデータセンター向けに、超高密度GPUプラットフォームおよびラックシステムを提供する。
(松井美樹)
(米国、サウジアラビア)
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