トランプ・オーガナイゼーションの複合型都市開発が起工、チン首相が出席
(ベトナム、米国)
ハノイ発
2025年05月30日
ドナルド・トランプ米大統領の親族が経営するトランプ・オーガナイゼーションと、ベトナム地場大手デベロッパーのキンバックシティー(KBC)は5月21日、北部フンイエン省で複合型都市開発プロジェクト「トランプ・インターナショナル・フンイエン」の起工式を行った。
式典にはファム・ミン・チン首相や、トランプ大統領の次男でトランプ・オーガナイゼーション副社長のエリック・トランプ氏、マーク・ナッパー駐ベトナム米大使、ダン・タイン・タムKBC会長、ベトナムの中央省庁や地方政府など、両国の官民関係者が出席した。
同プロジェクトはトランプ・オーガナイゼーションとKBCとの合弁事業で、面積は990ヘクタール、総投資額は約15億ドルを予定する。2024年9月に覚書を締結した両社(2024年11月13日記事参照)による最初の共同プロジェクトとなる。予定地はフンイエン省コアイチャウ県(省の西側、ハノイ市との省境)で、ホテルや住宅、商業施設、エコツーリズムエリア(緑地やテーマパーク)、高級ゴルフ場などを開発する。工期は2025年第2四半期(4~6月)から2029年第2四半期を予定している。
式典でチン首相は、このプロジェクトはベトナムと米国の関係を深化させる大きな意義があるとし、「トランプ・オーガナイゼーションの存在は、インテル、ナイキ、アップル、ボーイング、エヌビディアなど米国の大手企業がベトナムで投資を拡大している状況下、外国投資家のベトナムに対する信頼を表すものだ」と述べた。また、チン首相は、ベトナムが議長国を担う予定の2027年のAPEC首脳会議開催に向け、フンイエン省と関連省庁の支援の下、工期を早め、主要部分を2027年内に完成させるよう求めた。
トランプ副社長は「ベトナムは世界で最もダイナミックで、高い成長性、市場の潜在力があり、この国にトランプの遺産をもたらすことを非常に誇りに思っている」と述べ、チン首相の求めに応じて、2年間で主要部分を完成させる意向を示した。
KBCのタム会長は、アジアを代表するゴルフとライフスタイルの目的地として、フンイエン省の潜在性を評価したと話した。なお、フンイエン省はトー・ラム共産党書記長の出身地として知られている。
トランプ副社長は翌22日からホーチミン市を訪問して同市のグエン・バン・ドゥオック人民委員長と会談し、トランプ・タワーの建設候補地として同市内トゥー・ティエム地区を視察するとも報じられている(「ザ・リーダー」紙5月21日)。
式典で登壇したチン首相(ジェトロ撮影)
起工式の様子(ジェトロ撮影)
(グエン・ラン)
(ベトナム、米国)
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