ハマスによる奇襲から600日、依然58人がガザに拘束もネタニヤフ・イスラエル首相は「完全勝利」強調
(イスラエル、米国、パレスチナ、イエメン)
テルアビブ発
2025年05月29日
2023年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲から5月29日で600日が経過した。現在も58人の人質がパレスチナ自治区ガザ地区に拘束されており、イスラエル政府によると、そのうち20人が生存しているとみられている。同国のベンヤミン・ネタニヤフ首相は5月28日、国会に当たるクネセトでの答弁で「われわれが把握している情報によると、20人の生存者がいる」と述べた上で、「われわれは完全な勝利を成し遂げ、全ての人質を救出し、ハマスを壊滅させ、その指導部を追放し、ガザ地区を非武装化する。これこそが絶対的勝利だ」と強調した。
28日にはテルアビブの「人質広場」で、58人の人質の即時解放を求める抗議集会が行われた。「Yネット・ニュース・ドットコム」(5月28日)によると、抗議集会には数千人が参加したという。
テルアビブの「人質広場」で人質の即時解放を求める集会(ジェトロ撮影)
人質解放交渉を巡っては、米国のスティーブ・ウィトコフ中東特使が5月28日、ガザ地区での停戦と人質解放に向けた新たな提案を提示する意向を示した。同特使は米ホワイトハウスでの記者会見で「一時停戦とこの紛争の長期的かつ平和的な解決に向けて、非常に良い感触を持っている」と述べた〔「タイムズ・オブ・イスラエル」紙電子版(5月28日)〕。
一方、ガザ地区では、米国の支援を受けて設立された民間団体「ガザ人道財団(GHF)」が26日から南部ラファで食料配布活動を開始したと発表した(「タイムズ・オブ・イスラエル」紙電子版(5月26日))。米国のシンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」によると、GHFは28日までに1万4,500箱(約80万食分)以上の食料を配布したとしている。
また、イエメンのフーシ派によるイスラエルへのミサイル攻撃が継続する中、イスラエル国防軍(IDF)は28日、同国首都サヌアにある空港を再び空爆したと発表した。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(イスラエル、米国、パレスチナ、イエメン)
ビジネス短信 17e84c10ec05aadf