地方議会選で右派・リフォームUKが躍進、2大政党は議席大幅減

(英国)

ロンドン発

2025年05月09日

英国イングランドで5月1日、地方議会選挙が行われた。改選対象はイングランドの23自治体の議会で、併せて6市の市長選も実施された(選挙結果の詳細は添付資料表1、2参照)。地方議会選では、右派のリフォームUKが1,600超の総議席のうち約4割の677議席を獲得し、10自治体の議会で過半数を確保する大躍進を見せた。自由民主党も163議席増の370議席を獲得した。2大政党の保守党、労働党はともに議席を大幅に減らした。特に保守党は674議席を失い、過半数を占めていた地方議会も全て失った。

リフォームUKは市長選でも躍進し、合併に伴って新設されたグレーター・リンカーンシャー、ハル・イーストヨークシャーでそれぞれ勝利を収めている。

今回の選挙結果に関し、英国政治学者ジョン・カーティス氏はBBC(5月4日付)の記事で分析している。リフォームUKが各地で支持を獲得しており、中でもEU離脱の国民投票で離脱を支持し、また、2019年の総選挙で保守党を支持した層を引きつけていることを踏まえ、単なる一過性の抗議票とみなすことはできないとした。一方で、同党が勝利した地域は保守党または労働党が優勢だった地域で、自由民主党や緑の党が優勢な地域では苦戦したとして、依然支持層には偏りがみられるとしている。

与党・労働党にとっては大きな打撃となった。今回の選挙は2024年7月の総選挙後初の選挙で、同党に対する評価の場とみなされていたが、地方議会選での議席減に加え、市長選ではケンブリッジシャー・ピーターバラで保守党に敗北した。さらに、同日に行われた下院1選挙区の補欠選挙でもリフォームUKに敗北した。「ガーディアン」(5月2日付)は、以前の労働党に対する支持が自由民主党と緑の党に移っていることも指摘した上で、今回の選挙結果を踏まえて労働党がリフォームUK支持層に支援を呼びかけた場合、リベラルな層の支持を失うリスクがあるとした。

歴史的な大敗を喫した最大野党・保守党のケミ・ベイデノック党首には、その手腕に対する疑問の声が上がっている。ベイデノック党首はスカイニュース(5月6日付)の取材に対し、党首交代ではなく、有権者の信頼を取り戻すことに集中する必要があるとし、現時点での辞任を否定した。

(山田恭之)

(英国)

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