ルーマニアでコミコンが開催、日本発コンテンツの存在感拡大
(ルーマニア、日本)
ブカレスト発
2025年05月02日
東欧最大級のポップカルチャーイベント「イースト・ヨーロピアン・コミコン(East European Comic Con)」が4月25~27日、ルーマニアの首都ブカレストの大型展示会場ロムエクスポで開催された。アニメや漫画、ゲーム、アメリカンコミックの販売展示のほか、日本のロックバンドのライブパフォーマンスや人気ドラマ俳優をゲストとして招いたパネルディスカッション、サイン会が行われた。
イベントプロデューサーのコズミン ・ティツァ氏によれば、来場者は2024年と同様に5万人規模を見込んでいると述べた上で、「コミコンは日本文化に興味を持つ可能性のある層の関心を高めるのに重要な役割を果たしている」と、その意義を語った。また、現在のルーマニア市場について「潜在市場ではなく、既に成長市場」と強調し、消費者は「高級品」ではなく「高品質」を求める傾向にあるとした。
ライブパフォーマンスの様子(ジェトロ撮影)
同イベントでは、「21stTIMM×JETRO音楽コンテンツ・オンライン商談会」(2024年12月19日記事参照)で成約し、ルーマニアのバイヤーから出演依頼を受けた日本のロックバンド「nano.RIPE(ナノライプ)」によるライブパフォーマンスが行われた。演出を手掛けたバンダイナムコミュージックライブは「中・東欧のアニメファンの熱気から、この地域の大きな可能性を実感した」とコメントしており、今後の展開に向けた手応えを得たかたちだ。
日本雑貨やアニメ・ゲーム関連グッズの物販(ジェトロ撮影)
現地販売店からも、日本製の商品の好調な動きが報告された。大手書店のカルトゥレシュティ(Cărturești)の販売担当者は「英語版の日本マンガとアニメフィギュアが、他国製キャラクター商品と比較しても高い売り上げを記録している」とコメント。地場ギフトショップのTAKUMI(匠)の担当者も「アニメ関連ポスターやキーホルダーに加え、浴衣も好調に売れている」と述べた。
文房具市場については、ユニボールやポスカを取り扱う現地事業者が「筆記具市場全体は縮小傾向にあるが、アート・クリエーティブ分野での需要は根強い」と述べた。食品分野では、食品流通を手掛けるパルマ・フード(Parma Food)の担当者が「日本製食品はブランドイメージが良く、信頼性と味覚の両面で優位性を示している」と述べた。
また、来場者へのインタビューでは、日本のファッションへの関心、アーティスト支援への意欲、日本食に対する好意的な意見が多く聞かれた。
日本茶と和調味料のPRブースの様子(ジェトロ撮影)
ジェトロは同イベントに、日本茶と和風調味料のPR・マーケティングブースを設置した。ブースに訪れた一般来場者の多くは抹茶やゆずに関心を示し、効能についての質問も寄せるなど、健康意識の高さが見受けられた。また、七味やラー油といった辛いソースの人気が高く、「普段は醤油(しょうゆ)や照り焼きソースしか見かけないが、今回は新しい味に出合えた」などのコメントが寄せられた。
(本吉美友、小林京瑞)
(ルーマニア、日本)
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