中南米5カ国世論調査、米国関税に強い懸念

(メキシコ、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、チリ、米国)

調査部米州課

2025年04月07日

民間調査会社アトラスインテル(AtlasIntel)とブルームバーグ(Bloomberg)は中南米5カ国を対象とした世論調査(注)「ラタム・パルス(Latam Pulse)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の最新版を4月1日に公開した。同調査の中では、米国の関税政策に関する各国の懸念と経済的な損害を問う質問を設け、米国の関税政策への懸念については、米国と隣接するメキシコに加え、チリ、コロンビアも、「懸念している」という回答が7割を超えた(添付資料図1参照)。さらに、その経済的な損害については、「非常に大きい」または「大きい」との回答の合計がメキシコでは7割超、チリ、コロンビアでも6割を超える高い割合となった(添付資料図2参照)。

報復は関税ではなく、中国との接近によって実行するとの意見も

米国政府から追加関税が課された場合に自国政府が何らかの報復措置を実行することの是非については、メキシコ、アルゼンチン、ブラジルでは約5割、チリ、コロンビアでは約4割が「報復措置を支持する」と回答した。逆に「報復措置を支持しない」との回答はメキシコ、アルゼンチンで約2割、チリ、コロンビアで約3割だが、唯一ブラジルのみ4割を超えた(添付資料図3参照)。報復措置の内容としては、「米国産品への関税引き上げ」に加え、アルゼンチン以外の国では「(米国と覇権を争う)中国との外交・通商関係の強化」を支持する回答も多かった(添付資料図4参照)。

4月2日に米国のドナルド・トランプ大統領は相互関税に関する大統領令を発表した(2025年4月3日記事参照)。Latam Pulseの対象5カ国については、メキシコを除き、10%のベースライン関税が適用されることとなった。日本時間4月4日時点では、メキシコを含むいずれの国からも報復措置に関する発表はなく、今後の国内の世論や業界団体の声を踏まえつつ、慎重な検討が行われるとみられる。

(注)調査対象国はメキシコ(回答数2,753件)、ブラジル(同4,659件)、アルゼンチン(同1,883件)、チリ(同2,463件)、コロンビア(同2,049件)。調査期間は3月20~24日。

(佐藤竣平)

(メキシコ、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、チリ、米国)

ビジネス短信 e0b81a97ee70b39b