予算案通過、5月1日からVAT引き上げ
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2025年04月08日
南アフリカ共和国議会は4月2日、2025/2026年度(2025年4月~2026年3月)の予算案(2025年3月24日記事参照)を可決した。これにより、5月1日から付加価値税(VAT)をこれまでの15%から0.5ポイント引き上げ、2026年4月にはさらに0.5ポイント引き上げて、16%にすることが決まった。VATの議論を中心に予算案のまとめに時間がかかり、例年から1カ月遅れで予算案が発表された。予算案は賛成194議員、反対182議員という僅差で可決された。現地メディアの報道では、今回の一連の議論や結果を受け、VATの引き上げは国民統一政府(GNU)内の分裂を表面化させ、GNUの維持を脅かしているという見方が多い。
まず、GNU内第1党のアフリカ民族会議(ANC)と第2党の民主同盟(DA)は、2025年予算案について合意に至らなかった。4月2日付「ビジネス・テック」紙の報道によると、ANCはGNU以外の少数政党とも協議し、予算案を支持するよう求めた。その結果、ANCのほか、9政党(GNU外の2政党を含む)が賛成し、DAや自由戦線プラス(FF+)の7政党が反対した。
DAは4月2日に党のウエブサイトで「われわれは南アに必要な経済成長と雇用創出を確保するため、修正案について交渉してきた。しかし、困窮する国民のニーズに応えるために予算案が修正されるのではなく、VAT引き上げを含む予算案が可決され、生活費の負担がさらに大きくなる結果となった。1日の議会財務委員会では、予算案の承認や拒否、他の修正案の検討などが行われることなく採択されたため、議会の規則に準拠していない。今回の予算承認は手続きを違反しているとして拒否し、法廷で争う」と発表した。
DAはGNU離脱については言及してないものの、ジョン・スティーンハイゼン党首は今回の議決を受け、「今後の選択肢を検討する。党内で議論を行い、党としてのシナリオを検討し、適切な時期に発表する」と述べた(「エンジニアリング・ニュース」4月3日付)。
(堀内千浪)
(南アフリカ共和国)
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