米イリノイ州知事、官民共同のEV部品製造ハブ開所を発表
(米国)
シカゴ発
2025年04月30日
米国イリノイ州のJ.B.プリツカー知事(民主党)は4月23日、電気自動車(EV)用コンプレッサー製造のTCCIマニュファクチュアリング(本社:イリノイ州)と「クリーンエネルギー・イノベーション・ハブ」の開所式に参加した。この最新鋭のハブは、同州とTCCIが官民共同で4,500万ドルを投じて建設したプロジェクトで、重要なEV部品の製造を国内に移管し、研修や最先端の研究の機会を提供することで、北米サプライチェーンを強化するのが目的だ。このプロジェクトの一環として、TCCIはイリノイ州中央部に位置するディケイター工場の設備刷新に2,000万ドル以上を投資し、これまでに50人の新規雇用を創出している。
プリツカー知事は「労働力開発からイノベーション、製造の拡大に至るまで、われわれは機会の原動力となるものを構築している。その第一歩がクリーンエネルギー・イノベーション・ハブのような戦略的プロジェクトだ」と述べた。同ハブには、TCCIのEVコンプレッサー生産ライン、大学やコミュニティーカレッジと連携して学生向けに体験型学習を提供するクリーンエネルギー人材育成アカデミー、高度な試験機能を備えた気候イノベーション研究センター(Climatic Center for Innovation & Research)を新設する。クリーンエネルギー人材育成アカデミーは、TCCIの施設内にあるリッチランドコミュニティーカレッジと協力して、2025年秋に開校する予定だ。また、気候イノベーション研究センターは2026年に開設し、EV向けの次世代熱管理システムと自然冷媒技術に特化した国内有数の先端施設となる見込みだ。
なお、TCCIは2022年9月に同州のEV再構築法(Reimagining Electric Vehicles in Illinois Act、2022年12月27日記事参照)による税制優遇措置の対象となった最初の企業で、トラックやバス、建設用車両など、主に中・大型EV車両向けの部品の製造をしている。
(星野香織)
(米国)
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