トランプ米大統領のカナダへの対応は強硬過ぎると55%が回答、米世論調査
(カナダ、米国)
調査部米州課
2025年03月18日
米国によるカナダ原産の輸入品への追加関税が3月4日に発動され、カナダが対抗措置を発表した(2025年3月5日記事参照)。トランプ政権の対応は、両国の関係性に混乱を起こしており、最近の世論調査では、過半がドナルド・トランプ大統領のカナダへの対応は強硬過ぎるとしている。
米国コネティカット州のキニピアク大学は3月13日、トランプ政権の政策などに関する世論調査結果(注1)を発表した。それによれば、55%がトランプ氏のカナダへの対応は強硬過ぎると回答した。31%はトランプ氏の態度は適切で、6%は十分に厳しくないとしている。
キニピアク大学世論調査アナリストのティム・マロイ氏は、「関税に関する冷淡なやり取りは(米国・カナダの)長年の友好関係を冷やすものであり、(米国の)有権者はカナダに対するそのような扱い方は不当と感じていることを明確に示している」と述べた。
調査会社レジェ・マーケティングがカナダ人を対象に3月に実施した世論調査(注2)によれば、カナダ人の米国への見方は、32%が同盟国、29%は敵国、24%が中立国と認識するとして意見が分かれた。
カナダ人の購買行動にも影響しており、68%が米国製品の店舗での購入、65%が米国製品のオンラインでの購入を減らしたと回答した。一方、71%がカナダ製品の購入を増やしたとしている。
カナダの食料品店では、どの製品がカナダで製造されたかわかるような看板やラベルを通路に掲げて、来店者に「カナダ製品を買おう」と呼びかける様子が見られるという。オンタリオ州ウォータールー大学のジョエル・ビルト経済学教授は、「(米国は)何の理由もなくカナダを攻撃している」「それが国民を本当に団結させた」と述べた(CNBC3月16日)。
また、トランプ氏の発言と行動は、多くのカナダ人を困惑、激怒させ、米国旅行のキャンセルにつながっているという。カナダの旅行代理店フライトセンター・トラベルグループ・カナダによれば、2025年2月には、カナダ人旅行者による米国への予約が前年同月比で40%減少したとしている(「ワシントン・ポスト」紙3月16日)。
(注1)実施時期は2025年3月6~10日。対象者は全米の登録有権者1,198人。
(注2)実施時期は2025年3月7~10日。対象者はカナダの成人1,548人。
(松岡智恵子)
(カナダ、米国)
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