シェインバウム・メキシコ大統領、4月2日まで米国との自動車関税協議を見極め、対抗措置も示唆

(メキシコ、米国、カナダ)

メキシコ発

2025年03月31日

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は3月27日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国の自動車(完成車・自動車部品)に対する追加関税(2025年3月27日記事参照)に対して、「メキシコ政府の責任は、メキシコ国民、メキシコで創出された雇用、メキシコ企業を守ることだ」として、4月2日以降、メキシコは米国に対して包括的な対応を行うと発表した。

また、同大統領は「国民と国家にとって最良の条件を求めて、交渉を行っている」と述べ、マルセロ・エブラル経済相とハワード・ラトニック米国商務長官が協議を継続していることを明らかにし、「メキシコは米国商務長官とハイレベル協議を行っている唯一の国」と強調した。その上で、4月2日まで状況を見極め、適切な措置を講じるとした。

エブラル経済相はこの記者会見にビデオ通話で参加し、メキシコは米国に約300万台の自動車を輸出しており、米国で消費される自動車部品の約40%がメキシコからの輸入という点を強調した。さらに、米国商務長官との会談で「メキシコ国内のサプライヤーへの関税を引き下げられるような、優遇制度の創設に関する協議が始まった」と述べ、「われわれが求めているのは、メキシコで製造された製品がドイツや日本、韓国など米国に輸出している他のどの国よりも最良の値段になることであり、それが関税優遇制度だ」と強調した。

メキシコの自動車業界団体はメキシコ政府支持

メキシコ自動車ディーラー協会(AMDA)とメキシコ自動車工業会(AMIA)、メキシコ自動車部品工業会(INA)は自動車への米国の追加関税に対する共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。その中で「米国が自動車・トラック・自動車部品に賦課する追加関税は北米の自動車産業に深刻な打撃を与える。この関税は米国の消費者、北米3カ国の全ての投資と雇用に直接的な影響を与える」として追加関税を強く非難した。また「北米地域の自動車産業の競争力は30年にわたる統合の成果であり、この関税はその成果を脅かすものだ。世界が不確実な時代の中で、北米経済圏を弱体化させるのではなく、強化しなければならない」と強調した。その上で「われわれはメキシコの自動車産業と、それにひもづく数百万の雇用を守るための交渉で、メキシコ政府を支援する」と表明し、米国の北米経済圏を軽視する姿勢を批判し、メキシコ政府を支持する姿勢を示した。

(阿部眞弘)

(メキシコ、米国、カナダ)

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